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ツインテール探偵くるみの事件簿

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 帰宅の徒につき、校庭を歩いていると、
「忘れ物しちゃった。待ってて」
 くるみが部室の方へ駆けて行った。それを見送りながら、栞さんが、
「ワトくんの前でメガネを掛けない理由、わかった気がする」
「そうなんですか?」
「入学して心機一転、くるみはコンタクトにしたと思うの」
 くるみの言っていたイメチェンだろう。
「だけど、『メガネもいいと思うけどな』って言ったでしょ」
「俺が言ったから、メガネに戻したんですか?」
「たぶんね」
「ただの気まぐれでしょ」
「階段で助けてあげたじゃない」
「胸触って怒ってましたけど」
「照れ屋だから」
 面白い冗談だ。俺の前だと掛けるのが恥ずかしいってことか?

 くるみがミステリー小説を抱えて戻って来た。
「はい、ワトちゃん」
 と、俺に渡す。
「春休みの間に読んでね」
「へ?」
「探偵の目となって働くのが助手の役目でしょ」
 あらすじを話すよう言われた。推理して犯人を当てるつもりらしい。
「なんでそんなことを」
 そう訊くと、くるみが振り返り、
「だって、わたし探偵だもん」
 と言って、微笑んだ。

 こうして、くるみがメガネッ子だという事実が明らかになり、『教科書消失事件』は幕を降ろしたのだった。