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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS32 Sunny

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お爺さんは、熱中症でなくなった。クーラーが嫌いだったから。部屋を冷やすには扇風機すら使わない。風を入れれば十分だと信じ込んでいた。…その風すらなま暖かい昨今では、そのような態度では死んでしまうのではないだろうか。地球温暖化の中、クーラーを浴びると体によくない、とかいっていられない。
 そんな中なのに、彼は我慢大会をしようじゃないかと訳のわからん提案をするのだ。だから僕はいきたくないと答えた。すると、彼は「つまらないやつだなあ、本当に」というので、それならば、と、わざわざマフラーを持ってきた。
 「君は得意みたいだからハンデとしてこれをつけてくれよ」
 「は?…まあ、いいだろう…別にマフラーくらい」
 僕はこの日のことを実は去年から想定していた。だから高密度のマフラーをわざわざ用意してきた。
 仲間が数人集まりスタートした。彼は見る見るうちに危ない兆候を示す。だが僕は、それでも涼しい顔をしていた。空気の通りがいいシースルーは恥ずかしいがぜいたくを言っていられない。こんな日の我慢大会はリアルサバイバルなのだから。

 彼が倒れても、誰も救急車を呼ぶことはない。僕も去年、途中で用事が入らなければ、死んでいた。この夏のこの時期の恒例としてこの町で30年も続いている悪ガキの我慢大会だ。行政はあの怠惰っぷりでまったくなにも動かないから放置気味で、そして彼は死んだ。ほかの奴らには実はこっそり日に当たる位置に誘導していた。「場所変えようぜ」を繰り返していると、人間頭の感覚が鈍るのだから。
 死にたくないなら、他を死なせればいい。バカなことを始めた30年前の連中が懺悔すべきであって、僕は勝手に入れられたんだから、謝る余地はない。
作品名:BSS32 Sunny 作家名:フレンドボーイ42