BSS42 真実という名の甘美な誘惑
彼は呟く。見なきゃよかったんだ。それは彼の素直に発された言葉だった。
背中に大きな刺繍を入れた彼は世間で知られる純真青年とはかけ離れたものだった。美声の青年は呟く。
「一緒に死ぬか、君だけ死ぬか」
彼は呟く。
「僕だけ死ぬことはあり得ない」
「だって」
「君が」
「僕の」
「真実を追い求めたから」
「君は真実を追うことが」
「いいことだと」
「思っていたの?」
彼は近づいてくる。
「さあ、手を伸ばすんだ」
息を合わせて刃を取り出す。
「可哀想だから」
「僕も」
「一緒に死んであげるよ」
「ふふふ」
「怖いのかい」
「僕が一緒にいくよ」
「地獄もにぎやかにするからさ」
赤い滴なんて見えない。彼の顔が視界を接見して、
…ブラックアウト
作品名:BSS42 真実という名の甘美な誘惑 作家名:フレンドボーイ42