BSS03 裏山の松
彼女は松の根元にきて言った。
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死んだ猫を松ノ木の根本に埋めようとしてほじくり返していると、刃物が見つかり、少女はそれを何だろうとのぞき込むと血が付いていたので、それをもとあった場所に埋め返し、そこに猫を一緒に入れた。すると突然、猫が動いた。
「死んで…なかったの」
「…にゃあ」
すると猫は突然。
「いってえよお」
彼女は一目散に逃げ出した。猫がしゃべる?どこの童話の世界だというのだ。彼女はしかし猫の特性をなめている。山をかけ下る彼女よりも、崖から飛び降りる猫の方が素早いと言うことを。
「どこいくんだ」
「…!」
「どうしたんだっていうんだよ」
彼女はふるえるしかない。その体に近づくと猫は言った。
「猫だから気ままに動いていたかったのによ…おまえに拘束されてムシャクシャしてたんだ。おまえはいいよな、やっぱり人間の方が自由かい…なら」
「人間になるだけだ」
猫は彼女から何か光のようなものを取り出すと、それをむさぼり食べ始め、代わりに猫から光のようなものがでてきて彼女の体にはいっていった。
「動けない苦しみを味わいやがれ…俺は死んでたよ、だからおまえがこれから過ごすその体は死んでいる。動けはしないよ」
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「あれからもう30年もたったのか」
彼女は松の根元にきて言った。
作品名:BSS03 裏山の松 作家名:フレンドボーイ42