人間屑シリーズ
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青年はひとしきり泣いた後、「また来るからな! オッサン死ぬなよー」と言い残して去って行った。
彼は少しずつ、強くなっていくのだろう。きっと。
一人になった俺は胸ポケットから一枚の紙を取り出した。
何度も捨てようと思った。その度にグシャグシャに丸めては、また拾い広げたその紙は見事なまでにボロだった。
そこに書いてある文字は最早読み取る事すら出来ない。
しかし、その必要は無いのだ。
欲した言葉は一字一句忘れずに、この胸に今もなお熱をおびて閉まってある。
段ボールの箱から黄ばんだ原稿用紙を取り出す。
一連の事件の新聞記事を見つめながら、そこに現れる登場人物達に思いをはせる。
どんな気持ちで彼らは生き、そして死ぬのだろうか。
万感の思いを込めて俺は再びペンを取る。
もう一度書こう。
俺の思いの全てを込めて。
タイトルはそうだな――
――それでも君は生きている――
それでも君は生きている 了