BSS15 呪鉄考
「いや思う前提ではなすな」
「思わないんですか」
「思うけどそういうものだろうが。だいたいそれに失敗するような連中は人殺しには向いていねえよ」
「呪いが成功しない連中なんて、ということか?」
「そうだ。そんなことすらできない奴はいつか必ず死ぬ。当たり前だ。一流の殺し屋は殺す相手の目の前にたっているものだ。そういうことが分かってねえんだよ最近の若造どもは」
「まあそうかもしれねえけどさ…しかしいっくらなんでもそれは厳しい言い方じゃないか?」
「厳しいも糞もあるか。一流以外は皆死亡だぞこの社会構造は」
「…」
「どうした黙り込んで。おまえほどの奴でも怖がったりするのか」
「時々な。というより真の殺し屋は怖がりでなければならないとは思うが」
「恐怖心ねえ…ありすぎるとがっちがちになるけれどな」
「まあ、お前にはないのかもしれねえが」
「ないね。今のところ。昔はあったけどさあ…やっぱり慣れって恐ろしいな」
「まあなあ」
「じゃあ、俺帰るわ」
「おう、じゃあな」