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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS17 違和感仕事しろ

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この町は若者が集まり連なることで活気を喚起する作用をもたらしている町だ。政治中枢の新宿、おばあちゃんの愛する巣鴨と並ぶのがこの町。
 この町で、若者たちは、特にこれといった理由もなく、気の向くまま足の向くまま町をぶらつき、時には地べたに座りながら、その個性的なファッションを披露し、男は女をナンパし、女は男に逆ナンを仕掛け、昼も夜も声が耐えることはなく、そんな中警察はなかなか動けず、常に危機と隣り合わせにあるのもまたこの町である。
 そんな雑踏の中に私は足を踏み入れた。坂口安吾だったか誰だったかいまいち正確な記憶もしておらず、うろ覚えではあるが、確か「寺社仏閣が壊れてもかまわないが、電車が止まれば困るのだ」と言っていなかっただろうか?否、それだけではない。こちらはその人の名前すら忘れてしまったが、「都会の中にいると、その変わろうとするパワーを感じる。ヨーロッパは守ろうとする分パワーが感じられない」と述べていたではないか。私は入る。このともにふれる不協和音のような、それでいてピアノの名曲(ベートーベンとかシューベルトとか?)をずっと耳の横で流して小川をイメージするような、そんな町に、私は入る。誰一人としてこの町に逆らう格好をしたものはいない。買い食いしながら彼らは自分たちの自由を謳歌する。若いものにこそパワーがある。年をとれば、あとはそがれる一方だ。だから今の国に対する失望間が広がる。20代を使えとも言わないが、せめて30~40代のおじさんぐらいは使ったらどうなんだろうか、と思ってしまう。
 私は一人の男に会う。ナンパかなあ、ちょっとイヤではあるが、それなりにかっこいいし、ちょっと興味もあるし、まあ少ししていやになったら帰りましょうか。そう思って彼についていくことにした。
 彼はいろいろおごってくれた。そうしているうちに私は目が回ってきた。どうしてだろうか、分からないが、息は苦しく、疲れてきた。すると彼は私を支えてくれるので甘えてしまった。そうしているうちに本当は気づくべきだったのだろう。
 気をだんだん失っていく。たとえるならポケモンが全部瀕死したときのあの感覚…。

 □□□

 「大丈夫かな」
 「…ここは…おまわりさん、ってことは」
 「安心しな。ここは病院だ。確かに私は巡査ではあるが。君は犯人としてではなく被害者として運ばれてきたんだよ」
 「へ」 
 「最近多いんだよね、ナンパの時におごるものに麻薬を入れていく連中がさ」
 「そうなんですか、…、ってじゃあ私もうすこしで」
 「ドラッグ・アディクトにさせられるところだったな」
 「…」
 「怖くなったのかい」
 「…あの町で全く違和感を感じられない自分が、情けないです」
 「…いや、違和感なんて感じるはずがないよ。あの町だよ?」

 でも私は言いたい。

 違和感、仕事しろ。