少女の日記 2
夏休みの初日、俺はひどい寝起きを向かえた。
起床時間15:00。
夏休みになって浮かれた気分のままPNPをやっていたらつい夜更かししてしまった。
「あーTシャツべったべただ、喉かっわいたし。」
部屋どころか家にはだれもいないこの部屋でつい独り言を俺はつぶやいていた。
兄弟はいなく、母と父は離婚したので、俺は母と二人暮らし。母は当然仕事に行っている。
俺を産むまで勤めていた会社でまた雇ってくれた、と言っていたので経済的な面でも俺は安心している。
そして俺はまたつぶやく「こんな時間から走っても汗かくだけだな、夜はしろっかな。」
「コンビニいってから宿題しよ。」
「あ、そのまえにシャワーだよシャワー。」
ギシッと嫌な音をたてたベッドを無視し、俺はベッドから起き上がり、タンスに入っていたTシャツと下着を持って風呂場に向かった。
なんと俺は見た目に反して夏休みの宿題は全力でとっとと終わらせるタイプだ。
そして俺はコンビニで買ってきたジュースと共に、好きなバンドの音楽を聴きながら宿題を始めた。
宿題は初めてから1週間ほどで終わった。その間にも毎日朝と夜に俺は走った。
ちなみにルートは、俺の家から直線が500mほど続いているのでその道を4往復している。
7月もそろそろ終わるころ、俺はもう体が覚えた時間に起きて着替えて、寝ている母をまたいで玄関に向かう。
いつもと変わらない朝、好きなTシャツをきて、中学のころの体操服のズボンを再利用、左手に音楽プレイヤーを持ち、俺は走り始めた。
「いつ見てもでかい家だよなぁここ。」と走りながら心の中でつぶやいた。
そして、その家の持ち主であろう、体格の良いおじさんが新聞を片手に俺に声をかけてきた。
俺の心の中読んでたのか?っていうタイミングで、しかもよりによって俺の音楽プレイヤーをそこで曲が終わっており、曲と曲が入れ替わる無音のときに声をかけてきたのでガッチリ声が聞こえたのだ。
「やあ、おはよう毎日おつかれさまだね!」
張りのある声で俺を呼び止めたおじさんは体格通りというべきか、という声をしていた。
俺は耳のイヤホンを取り、挨拶する。
「おはよーございますっ!もう日課みたいなもんで楽しいですよ」
俺はクラスのやつとバカ話してる時の笑顔が自然にこぼれた。
そしておじさんは笑って言う。
「そうか、いつも走っている君には感心しているんだ。どうだい麦茶飲むかい?」
・・・え?と心からそう思った。単に部活にも入っていないから運動不足の解消に走っているのに、感心?
そんなこと考えていると、「まあ、毒なんて入ってないよ。注いでくるから少し待っててもらっていいかい?」
「あ、はい。ありがとうございます。」
と、最後のほうは消え入りそうな声で礼を言った気がする。
手で額の汗をぬぐいながらTシャツの裾を俺はパタパタする。
俺が走っているコースはただの直線だが、周りは住宅街だ、保育園もあるので、夕方ころには主婦たちが道端で話しているのをよく見る。
少し歩きながらこの家の表札を初めて見る。
洋一
昨屋 真理子
岬
なんて、読むんだろう?さくや?