BSS70 Surface B
「裏切るの、大好きですよね」
「信頼したのはあくまでそっち。僕は悪くない。時に、人殺しはまた別のステージに行くわけで」
「どういうことですか」
「人というのは何を持ってして生存というのでしょうか」
「そりゃあ、呼吸しているかでしょう」
「…まあ、僕も同じ期間を指す部分もあるのでいいでしょう」
「どういうことですか」
「僕も産まれていない子供は生存扱いしませんよ」
「…!おなかの中の赤ちゃんが」
「おぎゃあと泣いて初めて呼吸をするんですよね」
「で、…あなたも、というのはどうしてですか」
「生まれないと戸籍かけないじゃないですか」
「それだけですか」
「ええ」
「冷たいですね」
「別に生きてない、というだけで中絶は反対ですね。母胎の危機かレイプ被害でない限り『退治殺し』は認めたくない人間です。…まあ、当人たちの意志を最優先に尊重こそしますけれど」
「で、その言い方だと」
「死亡届けが出されて初めて死亡です」
「それはどういった話で」
「生きていても届けが出されれば厳密には死んだ扱いです。私は死んでいます、と言わなきゃね。逆に死んでいても」
「そんなニュースありましたね2010年夏頃に」
「そう。死んでいても届けがなければ生きていることになる」
「だから」
「死亡届けがでている人を殺したら?あるいは殺したけど死亡届けを出さなかったら?それは罪に問うてよいのでしょうか」
「詭弁者ですね」
「僕がですか」
「この場面でほかに誰がいます」
「まあ、詭弁でもいいじゃないですか。僕はいろいろな死のあり方を模索しているわけで。で、生のあり方は模索できているんですか。そこまで言うからには。…期待してますよ、ホワイトな作品とやらに」
「自分に期待するんですかあなたは」
「自分に絶望するんですかあなたは」
「絶望しますよ。僕はあなたで、つまりグロテスクな作品の作者であることに」
「期待しますよ。僕はあなたで、つまりホープフルな作品の作者であることに」
「まだあなたほど上手くは行かないのですが」
「…いずれ僕を殺しに来る日を楽しみにしれますよ」
「せいぜいあなたの毒で死なないようにはがんばるつもりです」
「そうですか」
作品名:BSS70 Surface B 作家名:フレンドボーイ42