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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS76 Nallow

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「高貴なるお方よ、私は今一度その顔を拝観したく存じます」
 「見たければ見たらいいわ…だいたい今のあなたが私に敬語を使う理由はない…私は自由意志でここにいる。牢獄にね。あなたは私に何を求めるの?接吻?抱擁?」
 「そこまで図々しくございません。私はただ拝観できればそれでよいのです」
 「遠慮をすることもいよいよ諄くなってくるわ。別にいいの。…あなたは騎士?」
 「この監獄に幽閉される前はそうでございました」
 「素敵ね。守る家族はいたのかしら」
 「私はただこの国のために忠義を尽くしたまででございます。家族などはおりませぬ」
 「あら。そうだったの。ごめんなさい。辛いことを思い出させてしまいましたわね」
 「いえ、滅相もないことでございます。私は家族を失った、というより裏切られて追い出されただけでございます」
 「家族に?…それは余りに辛すぎる」
 「そのようなことがありましてから私はただこの国に尽くして死のうと思いました」
 「そうでしたの…そのマークは…赤い大鷲ですのね。つまりは、儀式による幽閉ですのね」
 「はい、私の村では儀式で幽閉されるのは成人男子と決まっておりました。私は他に家族もなく誰にも迷惑をかけぬと思いまして」
 「そうでしたの…私には儀式の必要性は感じられないのだけれど…なぜ父王は」
 「王は崇高ではありませんか」
 「あなたのような純真な人にとって、真実の父王の姿は見ることは叶わないわ…真実として受け入れがたいでしょうから」
 「どのようなことでございますか」
 「父王は慈悲の人と思われている…赤い嘘よ…彼は貧しき民には全くふれぬ主義者。彼は自分に利を与え益をなすものにしかほほえみをなさらないの。儀式を執り行うのも自分の醜い命の延命のため…情けない話でございましょう…私、そのような父の血で汚れておりますわ」
 「そのようなことは口になさらないでください。汚れたお方がそれほどの美しさをたたえることができましょうか」
 「…美しいのも罪なものです。私はもしかしたら政略結婚に生かされるかもしれないわ…そうなって誰が喜ぶか?父よ。国家のため?貧しさは日に日に拡大する一方であるというのに?…もしよければ誓っていただけないかしら」
 「何をでございましょうか」
 「これから先は国家、という王の化粧品ではなく、私個人に忠義を尽くす、と。そしてもし彼女が自由意志で行動できなくなるときは自らの剣で彼女を刺し、その剣を掲げよ、と」
 「それは余りに受けるにはきつすぎることでございます」
 「受けてくださらないと困ります…わたしはあなたに心酔してしまった…もういいですわ。ならば今あなたの剣を貸してください。死ぬならあなたに刺されて死にたいですができないならあなたの剣でせめて」
 「…もし明ければあなたは戻れまい。ここに入ったことがばれればあなたは二度と入れないよう策を練ることでしょうから」
 「死ぬなら、…今だと」
 「…申し上げづらいことですが、左様にございます」
 「…いいですわ。あなたは、どうされますの?」
 「刑にかけられる前にあなたを抱いて眠りとうございます」
 「急に素直になったのですね…では、私を抱いて後ろから突き刺してそのままともに召されません?」
作品名:BSS76 Nallow 作家名:フレンドボーイ42