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つやつやネムリー
つやつやネムリー
novelistID. 1618
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星空の下、羊工場の夢。

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羊工場へと、トラックに乗せられて次々と運ばれる羊。
トラックは海を超えて、
世界中から集まってくる。
羊追い達が集めた羊。
人々の寝静まった夜に、人の心から滑り落ちた羊を
羊追い達が集めてまわっているのだ。


工場の中は、さながら羊の海原のよう。
工場の果てはわからない。
ただどこまでも羊が続いている。

真夜中に星の光を動力源として、そっと工場は稼動を始める。




羊追い達が合図をする。
乱れることなく羊は次々と、溶解炉の中に消えて行く。
少しの音も立てず、消える羊。

その後、羊はどうなるのだろうか。
羊は虹色の液体になって、
チューブの中を伝う。
チューブは、「ひな形」へとつながっている。
虹色の液体は、
次々その中へ流し込まれる。
そしてひな形の中で、ふかふかの「夢」が出来上がる。
つまり羊は、
夢に姿を変えるのだ。


羊はそうして新しい「夢」として、
もう一度生まれてくる。
工場からトラックに乗せられて出荷される夢。
世界中へとトラックは向かう。
そうした永い永い旅路を経た後に、
夢は眠りに就く人々の心の中に、そっと戻って行くのだ。

だからなのだろう、朝を迎えた頃には、
人々の心は少しだけ優しくなっているのだ。




(2004.10.9 つやつや空想録 Tsuyatsuya's CuuSoo Vision)