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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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BSS28 過度な要求

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死線を超えていくしかないというならそうするさ。でもあまりにひどくないか?

 死んだと思えば生き返る。それを繰り返してもう何十年たつだろうか。伊藤計劃氏の小説のように、俺は生き返される運命である。ただ一つ俺が彼の小説と違ったのは、俺がする運命は墓守のためであることだ。
 墓を守るのは当然だと考える親たちが多いこの世の中である。子供の一人立ちは端から考えない。そんな中彼女らは自分ではしたくないその行為をすべて墓守種族に頼む、というより押しつけるのである。墓守の里。ここでは非人と呼ばれた階級の人間が暮らしている。部落差別は健在だ。在留外国人に対する差別はまだ差別擁護派にもちゃんとまともに話せる論者がいるが(正当な理由で擁護するのなら話す価値はある)、部落差別は差別擁護派にはちんちくりんやパッパラパーしかいない現状であるというこの国のいびつなシステムはいったいなんだというのだ。
 だからこそ、俺たちはいる。墓守種族は実はもう「滅びている」。今生きている男たちはみんな生き返されているのだ。女どもは皆身元を隠してとけ込み、男はそのせいで結婚もできず絶滅したが、国は誰もやりたがる仕事ではないと知っているのでこんなことを続けているのだ。
 もう死体を見る数も百万の大台に乗ってきつつある。その中には、かつての「自分」や「近所」もあるのだが…。