嵐と音符達。
天と地がひっくり返ったみたいな騒ぎを巻き起し去っていく。
そして一夜明けた早朝。
雲一つなく、すっきりと開けた大きな空。
太陽は山の間から顔を出すと、すいすいと
いつもより伸びやかな足どりで天を登っていく。
やがて大地をすっかり見下ろした太陽は
その光の粒を地上の隅々まで行き渡らせると
満足そうに微笑みを浮かべる。
しかしその微笑みも長くは続かない。
小鳥達の鳴き声が、一向に聞こえてこないからだ。
「いつもそよ風のように歌う、あの小鳥達はどうした?」
ちょうどその頃、森の奥では、
小鳥達が木々の間を行ったり来たりと
せわしなく動き回っている。
自慢だった輝くような羽は、
疲れのためすっかり張りがなくなっている。
小鳥達はあるものを必死になって探している。
それは音符。
美しい旋律を構成していた音符達だ。
あの嵐でどこかへと
散り散りに飛ばされてしまった音符達。
あれを全部見つける事ができなければ、
小鳥達のあの美しいさえずりは
地上から永遠に失われてしまうに違いない。
小鳥達は鳴き声を
あげることもできないまま、
いつまでも音符の行方を探している。
(inspired by by an imagination on Sep 11, 2007)