BSS38 ビール
「嫌厭しかし君」
「いいですから」
「でも」
「お金は僕が払いますよ」
「しかしだが」
「いいですから」
コーラ、ソーダという炭酸飲料は飲ませるのに大変時間がかかるがビールはそうでもない。炭酸飲料で唯一の、自分から大量に摂取する飲み物だろう。水よりも多く飲んでしまい、ビールの魔力に取りつかれれば死ぬまで飲み続ける。もう動けなくなる直前まで飲ませ、外にでる。
ふらついた先輩。
僕はニコッと笑った。
元カノが死んだ。
それは何でだろう。
ソーダを飲まされた形跡。
苦しみを味わわせた奴。
振られても彼女が好きだった。
そう、その男、犯人はソーダを飲ませてくる閉めた後で毒を飲ませたのだ。炭酸飲料で苦しめいたぶるという非道な行為。
やるなら同じように復讐したかった。
炭酸飲料。
ビ ー ル
そう、泡が特徴的なドイツの酒。
それならば強制しなくても飲ませることができる。
犯人を独自ルートで調べあげた僕はこの会社にはるばるやってきた。彼を殺す、それだけのために。
少し押すと彼は飛んでいった。
ここは地元民も寄り付かぬ崖。
もう、終わりだろう。
明日会社に行ったら、「あれ?先輩は?」と真っ先に聞いてやるんだ。