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内緒話


『もしもし?』
「やぁ、久しぶり。ちょっと聞きたいことがあってさ」
 電話越しに声が聞こえてきたのを確認して、新羅は話を切り出した。
「君、視力は良いのかな?」
『……はぁ?』
 電話越しに、訝しげな男の声が響く。
『さぁ……視力なんて学生の時から測ってないけど、別に悪くはないと思うよ』
「そう、それは良いことだね。眼鏡ともコンタクトとも無縁の生活なわけだ。実に結構」
 新羅がそう言うと、電話の向こうから呆れたような溜め息が聞こえてくる。
『何が言いたいんだ? 新羅。俺だって暇じゃないんだ』
「別に? 強いて言えば八つ当たりかな。新しい友人と眼鏡談義で盛り上がっていたんだけど、君のせいで嫌われてしまったみたいだ。それでセルティに怒られた。由々しき事態だと思わないかい?」
『思わない。もういい? 切るよ』
「園原杏里」
 新羅がその名を出しても、電話の向こうは無反応だった。しかし通話は途切れず、次の言葉を待っている。
「君のことだから知ってるだろうけど、罪歌の宿主の杏里ちゃんだよ。君、一体何をしたんだい? 彼女、君の名前を出した途端、血相変えて出て行ったよ」
 電話の向こうで、男、折原臨也が嘲笑した。
『お前が俺のすることに口を出してくるなんて珍しい。女子高生に宗旨替えでもしたのかい? ……いや、厳密には彼女も人間じゃなかったな。どこまでもマニアックな奴め』
 臨也の明らかな挑発を、新羅は軽く笑って往なす。
「まさか。セルティに薄情者だと詰られたんでね。少しは情に厚い人間になろうかと思ってさ」
『無駄な努力、ご苦労様。ところで、さっき出て行ったって言ったかい? まさか、家に上げたの?』
「そうだけど?」
 急に声の調子を変えた臨也に、新羅は訝しげに片眉を上げた。
『……あのさぁ、新羅。これは友人としての忠告だけど、彼女にあまり近寄らない方がいい』
「何で?」
『おいおい、平和ボケも大概にしろよ。罪歌は人を乗っ取るんだ。杏里ちゃんは精神構造が特殊なせいで、罪歌を抑えていられるようだけど、十代女子の精神なんて、信用に足るものじゃない。俺が思うに、今はただの小康状態だ。いつ乗っ取られても不思議じゃない。実際、俺も彼女に切りかかられたことがあるからね』
「それは、君が何かしたからだろう?」
『さぁ、何も? ただ言えることは、君やセルティが関わることで、彼女の精神に影響を及ぼす危険性があるってことさ。あの子の生い立ちを考えると、年上にちやほやされるのって、相当揺さぶられると思うよ』
「なるほど、君はそうやって信者を獲得しているわけだね。……君が、杏里ちゃんと僕らに接点があるのが気に入らないってことは良く分かった。知ってた? 君って十代女子より信用ならないよ」
 新羅がそう言うと、電話の向こうで溜め息を吐く気配がした。
『……せっかく人が心配してやってるのに。この捻くれ者め』
「君に言われちゃおしまいだなぁ」
『とにかく、気を付けなよ。お前は自衛の手段も無い、ただの人間なんだから』



作品名:ホーム スイート ホーム 作家名:窓子