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私のやんごとなき王子様 真壁編

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 正直取材陣の多さと圧迫感に、私は軽い目眩を覚えていた。
 次々とやって来る人に身分証明証を提示してもらい、用意しておいたネームプレートを渡して行く。
 隣にいるのは真壁先生。
 それだけならいいんだけど、何故か私に色々と質問をしてくる大人達にずっと困惑しっぱなしだった。

 まあ一番多かった質問は『風名玲君と桜亜里沙さんがいるのはどこ?』だったんだけど、取材は一まとまりで順番に行って、一カ所での時間は15分と決められていたから教えても勝手に行く事は出来なかった。
 私と真壁先生は彼らを監視する役目もあったので、騒がしいエントランスで声を張り上げていた。

「それでは今から順番にご案内します! 時間は15分で、作業をしている生徒や物に触れないようにお願いします!」

 私の説明も聞いているのかいないのか、やっぱり聞こえて来る会話はもっぱら風名君と亜里沙様の名前ばかりだった。
 先頭は演劇祭実行委員の生徒が歩いて、最後尾を真壁先生と私が行くことになった。

「大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」

 疲れが顔に出ていたらしく、真壁先生が心配そうに大きな体を屈めて尋ねて来た。

「ちょっと顔色悪いぞ」
「そうですか?」
「まあ、人数多いしな。これが終わったらちょっと休め」
「いえ、平気です……」

 そんな会話をしている時だった。

「演劇祭準備中に盛り上がる教師と生徒、禁断の愛……」

 ……なんかものすごいキャッピコピーが聞こえた気がしたけど、空耳じゃないよね?
 私はじっとりと睨みつけるように顔を上げた。
 だけど誰が言ったのか分からず、歩きながら耳をそばだててみた。
 と、またボソボソと何やら聞こえて来た。