剣士・殺人記
「まあな」
「だがよ、本当おまえそうしていていいのか」
「なにがだよ」
「なにがじゃねえ(そこで店長はタバコを取り出して煙を吸い込み)おまえももういい年になって来つつある」
「24だ」
「少し女に興味はねえのか」
「ない」
「即答だな」
「女なんてなんの役に立つんだ」
「ストレス発散」
「一回しか使えないだろ」
「おまえは本当に何でも殺しに結びつけるなあ(あたりまえか、という顔をして)女の子とじゃれあうんだよ」
「くっだらねえな」
「おまえ…ふつうの20代の男が口にする台詞じゃねえだろ」
「普通でなくて結構」
「そういわずによお」
「…そこまで言うなら一人ほどたぶらかして見せようか」
「そうだ、それでこそ男だ」
「ならば美人がいいものか」
「いけるのか」
「脅す」
「おいおい」
「なんでだめなんだ?自分のストレス解消だろう目的は」
「愛されたくはないのか」
「ない」
「そうか…」
「なにを期待していたんだ」
「おまえが少し丸くなったらなあ、と思ってな」
「ない可能性だな」
「ないか」
「ねえよ、あるわけねえ(疑問の目で)殺し屋をやっているんだぞ」
「殺しのターゲットが美少女だったら」
「殺すよ普通に」
「そりゃあ普通じゃねえだろ」
「殺す方がいいじゃねえか。だって生きているとそれだけで面倒だぞ」
「おまえやっぱり普通じゃねえよ」
「普通だ」
「普通じゃない」
「まあ、勝手に言えば」
「おまえは本当ひねくれているな」
「そうだろうか」
「自覚もないとは重傷だな」
「どうでもいいからな」
「そうか」
「そうだ」
「じゃあなんも言わねえよ」
「そうか」
「そうだ」
「大げさすぎるだろ」
「大げさではないだろう」
「別に死ぬまで孤独でもいいんだよ」
「なんでだよ」
「女作っといて、俺が死んだら…そいつが孤独になるだろうが」