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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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地下室の事情

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明かりのほとんどないようなこの部屋に一人の少女が鎖につながれている様子をじっと眺める同い年と思われる少年の、方の上に乗っている生き物は何とも形容しがたい不気味なものであった。少年は生気もなく、ただうつろに見つめるのみで、その生き物は少年にまとわりつきからみつき、肩に根ざして宿り木のようにうごめくようだった。少女に手を触れ少年はただひたすら少女を見つめるばかりだった。その宿り木生命体は少女の腹部を触れた後、少女に根を下ろした。少年は倒れたが、宿り木生命体はいっこうにかまうことなく、そののち持っていた鍵を少女の手枷にはめて錠をはずし、少女の肩に移動して少年を見下ろせば、少年はぼろぼろとまるで土人形のようにほころぶばかりだったために、少女が息を呑んだことは言うまでもない。彼の姿が砂土に完全になると、それをその化け物はペロペロとなめ始め、あっと言う間に平らげてしまう。その様子を見ながら、自分の今後を予想して気絶する少女をみて、階上の青年は笑いながら、上を見やる。黒髪、長身の黒ずくめのファッションの彼曰く:「まったくさいきんの3D装置には参ったね。少女一人をここまで震え上がらせることが可能とは思わなかったよ。まあでも少し悪いことしちゃったかな。死んでないかチェックしておこう。死んでもらったらさすがに僕としてもかなしいからな」彼は階下に降りては彼女の唇にキスをすると、映写機をOFFにして口を開くに曰く:「この娘は本当にいとおしいものだから、ついついいじめたくなっちゃうんだよな。…まあ、もともとがMではいじめがいがないと言うものだからね」彼は目覚めた少女をみると、ニヤリと笑う。「おはよう。よく眠れたかい」彼女はその笑顔に畏怖を覚えながら目をそらそうとする。「だめだよ、ちゃんとみてよ。僕のことをちゃんとみてくれないと」
 彼が少女を連れてきた日は曇りに曇り、昼にも夜の姿を呈する日だった。人通りもなくそんな日に外にでる人は他になく、彼はいわば風変わりな性格において奇想天外な行動をとり、そしてかつなぜ故にか少女は歩いていたのであり、それに興味を覚えた彼は、太字分の車につれやることを思いつく。時は3年前になるか。弱いショックを与えながら彼女に徐々に徐々に新しいショックの種を植え付け、自殺を防ぐ。彼女は篭の鳥になって出られぬわずか半径3メートルの世界をばたばたばたばた苦しそうにもがきながら涙を流す。「君におもしろいものを見せてあげるよ」そう彼が言ったならば、彼女にとっての新たな地獄の始まりである。毎度毎度どこからショックの種類を思いつくのか、ありとあらゆるホリブルで猟奇的なシーンの責め苦にあわされて少女は気を失い続ける。
 彼女は彼を嫌いながら、しかし彼に依存している。彼女は彼を理性で嫌いながら、本能では彼を頼っている。刃物のような目つきに彼は「そんな怖い顔をしないで」とほほえみかける;彼女が弱々しく抱きつくのを感情的にうれしく思う故に。彼女は全く彼を愛さないながら、涙ながらにしかし望んで能動的にキスをする。彼は彼女を抱きながら、「きょうはもうおもしろいものはおしまい」と告げる。そして彼女をクイーンサイズのベッドにつれやり、おとぎをさせるのが彼のいつものパターンである。しかしながら彼は性的欲求は全く存在していないのであった。故に彼女にもそれを求めることなく、抱きながら撫でながら彼女がすうっと眠るのをみながら、しかしそれ以上を求めないのだった。
 ある日少女が目覚めると、青年は「おはよう、よく眠れた?」と聞く。そして、本来ならば「目覚めに一ついいものを見せたいな」とつぶやくところだった。しかし、その日ばかりは事情が違った。:「君はもう、今日で二十歳になるのかな」彼女はカレンダーを見た。自分が生まれたとされている日。そして今日。全く外界のことを知らず、つれてこられてから何日何十日何百日何千日過ごしているのかも知らない彼女に驚きが走った。それだけの年月を彼と過ごしているのだ。
 「おもしろいものは、もうおしまいだよ」と彼は言った。「君は今日、ここを出ることができる」そして彼女を見つめる。「出たらここには戻らない。出ないと言えば君は一生出ることができない」彼は近づいて言う。

 「どっちがいいかい」

 彼女はこの部屋につれて込まれて、初めてその甘い声を聞かせる。

 「ここに残ります:私をいじめるのでも何でも好きにしてください」

 彼はそれを聞いて言った。「あいにくだがM趣味の女の子をいじめるのは好きではなくてね、君が残るというならもうこんなものはいらない」と、3D映写機を手で握りつぶした。「寂しかった僕に対しなんの反論もしないでくれたから、僕を攻めないで必死に境遇を受け入れてくれたから」しかし彼女は首を振った:「あなたがもし私を抱きしめていなかったら責め苦には耐えられない。あなたの表現だったんでしょ?あの処遇は」彼女は抱きしめて曰く:「それにちゃんと向き合わないであなたに憎しみをぶつけたらあなたは苦しみを吐き出せないじゃない。そして」
 彼女は言った。「私のこと、覚えてるでしょ」彼は答える。「ああ…覚えてるよ」
作品名:地下室の事情 作家名:フレンドボーイ42