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私のやんごとなき王子様 波江編

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「潤、もう一度言うわ。私と付き合って」
「水原、それについては」

 潤君が何かを言おうとした瞬間、再び大きな花火が上がった。

 ドーーーン!!

 大きな音が鼓膜を揺らす。潤君がなんて言ったのかが聞き取れなかったけど、私がここにいてはいけない事だけは分かった。

「あ、私ちょっと向こう行ってるね」
「小日向先輩も居て下さい」

 私が踵を返そうとすると、水原さんがそれを制した。

「潤、私は潤の事が好きなの。付き合ってよ」

 水原さんの堂々とした言葉と態度に、何故だか私の方こそ体が震えた。
 聞きたくない――潤君の返事なんて聞きたくない!

「……ごめん。無理」

 思わず耳を塞ぎそうになったその時、潤君の凛とした声が辺りに響いた。

「なんでよ? 私は……」
「ごめん。でも水原とは良い友達でいたい」

 水原さんの瞳がサッと潤んだ。その濡れた瞳の黒い世界に幾筋もの光の花が咲いては散っていく。私は――

「そう。じゃあ」

 そう言うと水原さんは宿舎の方へと駆け出した。