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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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宗教結社

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僕は、今日、今までしてきたことについてあなたに、しっかりと謝りたい、とのように思います。もう何のことだか、おわかりでしょうか。なんて言わずともさすがにおわかりでしょう。ええ、そうです、僕が・僕が、悪いのです。あなたに、この世ではこれ以上にないほどの、内側、内面、つまりは心における、そしてあなたの社会的立場、地位における傷をたくさん、あらゆる場所に付けてしまったということ、です。僕はこのことについて、ええ、もちろんです、はい、そうでございます、僕はインディードに、この一件について誠に真摯に受け止め、そしてなお、それを踏まえた上で深くお詫びをしなくてはなりません。え、なるほど言い訳がましいじゃないか、と?そうですね、というかまんま、言い訳ですね。これはあなたの言うとおり、言い訳以外なにでもありません。それは認めましょう。それは。そのことについては。しかし、それでも謝らなくてはいけないと思う故に、こうしたい、という所存なのです。
 かつて、あなたが、信じていた、崇高なる物と呼ばれた神。僕が、教祖として、絶対唯一と教えました神。しかし実際には・それは僕が作り出した仮想の物、いや、抽象的な概念なのです。もっと言うと、僕の都合というものにもっともあうような、要は双曲線の先とエックス軸の関係のようなものであり、そういったことをあらかじめ計算して作り出された概念であり、また信仰を集める目的のために、人格を持ったように装われた、想念的な代物なのです。もし仮に、ええもちろん万が一にも、のことをいっているのですが、神様というものがいるとして、よく考えたらお題目(教典のタイトル)を唱えれば病気が治り、望みが叶うなんてあり得ないことでしょう。ね?分かりますよね、今ここで冷静に考えれば・・・。しかしあなたはアズ・ア・リザルト;これにのめり込まされていった。何故でしょう?何故僕は、あなたをはめることが出来たのでしょう?これはとてもひどい理由です・・・あなたを誘ったときが、あなたがとても弱っていた時期だったから、というわけです・・・。もっと言うと、僕はそうなるまで待っていたということ。そうです、ずっと待って、ねらっていたのです。
 ええ、最低です。それはそれは説明を簡単にしてしまえば;催眠術とドメスティック・バイオレンスを組み合わせたような、そんなカルトです。あなたを信じ込ませるにしんじこませ、そうしてそうしてアズ・ユー・リライ・オン・ミー、ひっかけることに力を注ぎ続けてしまった。ザット・イズ・トゥルー、あなたをはめることが至上命題だった。詐欺というのは相手の相対数に応じて儲けが大きくなると言うことを知っていますか?だからマルチ商法という物は成功しやすいのです。そういうことだけには頭が回る僕は、駄文を連ねて本を出版し、その儲けだけでなく、さらには宣伝効果(広告)にまで目を付け、そうしてあなたのように苦しんでいる人を誘う、見かけはカウンセラーか天使のごとく、しかしその実体は鬼、悪魔、犯罪者。獲物をおびき寄せて放さない蟻地獄のごとく、でしたよ。しかしそれを国は、訴えられない。この国にはカルト規制法はありません。どんなカルトでも、自由に活動が出来るという国なのです。成文法としてそうやって定めておくのは非常に危険だったというわけです。スタチュートの危険という奴ですね。だから、不文律とした。不文律は裁判なんかでないと効力が発揮できません。要は、裁判沙汰にしなければいいわけですね。頭をここで思う存分使うわけです。平素は全くと言っていいほど使わない、ろくすっぽいい知識もない頭をひねりにひねる、というわけです。
 本当にげんなりすることでしょう。しかしこれこそがこの国のやってきたことであり、そして私はそんなことの網の目をこうして買いくぐるという最低なことをこんな平然として顔をぶら下げてやってきたのです。
作品名:宗教結社 作家名:フレンドボーイ42