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私のやんごとなき王子様

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「う〜ん……お前は頭もいいし、案外器用だしなあ。どこを手伝っても十分役に立つと思うんだが……そんなに悩むんなら、消去法してみろ」
「消去法、ですか?」
「ああ、これだけは嫌だってのはないのか?」

 さなぎと同じような事を言ってさりげなく褒めてくれる先生の言葉にちょっと照れながら、それでも一番最初に浮かんだのは鬼頭先生の顔だった。
 でも真壁先生と鬼頭先生って仲良しだからそんな事言えないし、私自身苦手だけど嫌ってるって訳でもないからすぐに考えを消した。
 そしてゆっくりと考えてみたけど、これだけは嫌だと思うような仕事は何一つ思いつかない。
究極食事当番でも掃除当番でも嫌じゃない。

「――すみません、嫌な仕事ってない、です……」

 私の言葉に先生は嬉しそうに笑うと、

「お前って本当に生徒の鑑だなあ! 担任として嬉しいぞ」

 と言って今度は少し強く私の頭をかき回した。
 ちょっと痛いけど、真壁先生に頭を撫でられるとなんだかお兄ちゃんに褒められてるみたいで嬉しい感じがする。

「まあ、そんなに決められないってんなら、お前俺の手伝いするか?」
「えっ?」

 またこのパターン?
 私は驚いて先生の顔を思わずじっと見つめてしまった。
 多分、変な顔で。
 すぐに先生はぷっと笑って、机の上のファイルから一枚用紙を引き抜いて私に手渡す。

「俺と鬼頭は合宿中に問題が起きないように生徒を管理、指導するのが仕事だ。もちろん人手が足りない時は生徒を手伝う事もあるだろうし、他の先生方と各係のリーダーとの連絡役もしなきゃいけない。やることは山積みだ。小日向が構わないってんなら俺達の手伝いをすれば、もれなく色んな所の手伝いが出来るかもしれないぞ。小間使いのように」
「ようするに、先生方の雑用係って事ですよね?」
「そういう事だ」

 受け取ったプリントには細かい係りの割り振りと、簡単な仕事内容及びタイムスケジュールが書き込まれていた。
 確かに大変そうではあるけど、仕事としてはやりがいがあるかもしれない。鬼頭先生と一緒というのがいささか引っかかるけど。

「――明日までには必ず決めるんで、ギリギリまで考えさせてください。お願いします!」