小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

御伽噺と薔薇の華

INDEX|5ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 


云い様の無い切なさみたいな物は必ずしも在る物で有って、
例えば紅く染まった朝焼けとか、
期待と希望が入り混じったかの様な朝陽とか、
雨が降る前のぐずついた雨雲だとか、
水捌けの悪い道路を裸足で歩いてみる時とか、
傘もささずに泣きわめく姿とか、
月が出て居るのに明るい午後の色とか、
灰色より水色に近い夕方の空とか、
何とも言い難い冷たい空気の匂いとか、
山の向こう側に走れそうな夕闇とか、
熱中し過ぎて電気を着け忘れた部屋の薄暗さとか、
携帯の灯りだけが頼りの学校帰りとか、
力ずくで引き留めた君の腕の細さだとか。

明日になんて、
成らなければ良いと思う。

此のまま、此の時間のまま、
総てが止まって仕舞えば良い。

僕を置いて逝けば良い。

だって明日、
同じ切なさを味わいたく無いの。

そんな事を、
思ったりもしたものだよね。



作品名:御伽噺と薔薇の華 作家名:autumn