ごめんも云えない
自分から、逃げ出してきたのに。冷蔵庫から、アイスコーヒーを取り出して、グラスに注ぐ。氷がピシピシと音をたてた。
つらかったのだ。彼のような立派な人間から全幅の信頼を寄せられるのが。
限界もみえはじめていた。
色んなものが、怖かった。
次、代表に選ばれなかったら?
それ自体も怖かったけれど、彼を落胆させるんじゃ、という気持ちもあった。
グラスに口をつけた瞬間、涙が出てきた。嗚咽が止まらず、グラスを置いた。
シンクの端を掴んだけれど、足に力が入らずずるずると床に座り込んだ。
結局、弱い自分。
君は、今何をしている?