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僕たち男の子

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こみあげる嘔吐感を必死に押さえながら顔を背けた。
ぐるぐるする。息がつまる。痛さに息が吐けなくて一瞬目の前が真っ白になった。
気付くと一人で、月がのぼっていた。
涙は流れなかった。


世界中の女が強くなって、男は征服欲をもて余している。



とりあえずトイレで吐いた。



いっそ女だったら良かった。


女だったら泣いて被害者づらできるのかもしれない。口を拭って自分の手を見つめた。意外に節高な男の手だった。





制服がないというのは、意外に面倒だ。
毎日毎日何を着るか悩むのは本当に面倒くさい。
とりあえずこないだアメリカンラグシーで買ったクロエのシャツにジーンズをあわせる。



夏場の学校はカラフルだ。その中でも一際目立つのが、沢やその友達のグループだ。こっそり心の中で色キチと呼んでるのは秘密だ。
「さわー」

フルーツにもなかなかこんな色キチ載っていない。サイバーとかエンジェラーとか流行った時代を思い出す。

「おはよう」
云った沢はタータンチェックのスカートだった。
「なにそれ?」
「今日これで留学生との交流会に出るの。ジェフが貸してくれた民族衣装」
いつもの色キチグループはいつも以上に色キチだった。

「だから梨子もアオザイなんか着てるの?」
「そう!道永さんと今日この衣装でご飯たべいくんだ。ゆずるくんも、」
「今日用事あるから」
こんな色キチカップルととてもじゃないが外出できない。





作品名:僕たち男の子 作家名:おねずみ