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世界はときに欲張りで

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 道が分かたれたのはいつだろう?
そもそも二人の道が一つだったかさえ定かではないが。
たとえばお前が、いや、俺でもいいんだけど、女だったら、これを恋だの愛だのと勘違いして、ちょっとしたかわいらしい言葉をささやいて、駄目だったらさっさとバイバイして、それでまあ、元のお友達に戻りましょうとかそういうのもありだったのかもしれない。
けれど幸か不幸か俺もお前も男で、性的な魅力は残念ながら感じないし、まあつまりはそういう勘違いすらできないのだ。俺たちは。

お前から受けた影響は計り知れないけれど、それは低俗な影響ばかりで。どうして出会ってしまったんだろうね。


駅前のマクドナルドは二階がガラス張りで、そこに女子高生が座ると下を通る男共はちらちらと上を見上げるのだ。時々下着が見えるから。
今日は残念ながらむさくるしい男が二人座っている。まあ俺と五月なんだけれども。

「明日補講」
「だから?」
「お前も学校で自習しろよ」
「するか」

オレンジジュースはぬるくなって、のどにべたべたとした感触を残す。

「冷たい」
「普通だよ」
「いや、いやいやいや。冷たいですよ」

前から思ってたけど、お前ってちょっとアレじゃない?云いそうになって口をつぐんだ。はじめてそういう気質の人間に出会ったときは心底驚いた。同じクラスの女だったけれど、独占欲が強くて、いっつも周囲とトラブルを起こしていた。お前、たぶんあの子にすごく似てるよ。

「境界性、」
「なに?いきなり」

「べっつにー」
「えーなに?なに?」

無邪気になにを繰り返す姿が昔のようでまぶしい。

お前は変わってないのかもね。
世界がお前にたくさん求めすぎるのかもね。

だから俺たちの道は違うものになってしまったのかな?

窓の外を見た。女子高生が楽しそうに笑っていた。











作品名:世界はときに欲張りで 作家名:おねずみ