残酷な声誰だ、のいっこまえ
笑い方が嫌だ。俺を好きだというところが嫌だ。漣に大切にされているところが嫌だ。しゃべり方が嫌だ。とにかく嫌だと思った。
でも、それを口に出せない自分が嫌だった。
正直に言ってしまえば楽なのに。
お前が嫌い。
たったそれだけのことが言えない自分の臆病さをのろった。
「明日からテストなんだ」
そんな俺のことなんかお構いなしに、楽しそうに笑うのが憎たらしい。
世界で一番幸福なのは自分とでも言うように笑う。
死んでしまえと思った。
作品名:残酷な声誰だ、のいっこまえ 作家名:おねずみ