小指ひとつぶんの運命
失恋しました
わたしにはどうやら小指ひとつぶんの運命もなかったらしく、赤い糸なんかどこにもなかった
今日見たら彼女を連れていました
こいぬみたいな女の子でした
一生懸命大股のにしくんについていく彼女は女のわたしの目から見てもけなげでした
きっと彼女の小指にはうんめいが宿っていて、それがするすると赤い糸になってにしくんの小指から出た糸と絡み合っているのだと思います
なんでうんめいの赤い糸は赤いのか考えてみました
もしかしたらそれは血の赤さではないのかしらん
そう思うとちょっと安心しました
かわいいものはかわいすぎると不気味です
ちょっとくらいグロテスクなほうが現実的です
わたしはマカロンを食べました
作品名:小指ひとつぶんの運命 作家名:おねずみ