死んでしまう夢を見た
起きたら部屋がシンナーくさかった。みずきくんがマニキュアを塗っていた。小さくまるまった背中を見つめる。
「すき」
背中に向かって云うとこちらを向いた。
「どうしたの?」
「死んでしまう夢を見たの」
そう、何気無い夢なんだけど。さか夢だろうけど。明日死ぬなら、後悔なく死にたいと思って。
「ありがとう」
みずきくんは笑った。かっこよくない。チビだし、眉毛ないし。でも。
でも明日がないとしたら、今日みずきくんと過ごしたいと思った。
作品名:死んでしまう夢を見た 作家名:おねずみ