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触れない壊したい

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 誰かに依存するような人間は嫌いだ。とずっと思っていた。けど自分がそうなってしまったら?

七瀬くんの家には居候がいる。時子さんだ。時子さんはなにもしない。昼前に起き出して、だらだらテレビを見て、植物に水をやる。七瀬くんは時子さんに何も云わない。まあ、七瀬くん自体働き者だったり時子さんの世話を焼いているわけじゃないから、仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。
「彼女ですか?」
以前七瀬くんに聞いたら笑われた。

関係に名前を付けたがるのは現代人の悪い癖なのかもしれない。


時子さんは基本的に知らないひとと話さない。極度の人見知りなのだ。俺は時子さんと普通に会話できるようになるまで半年かかった。
時子さんはいつも鼻歌をうたっている。たいていはとても昔のうたか、でたらめなうただ。
仲良くなると時子さんはとても気分屋なことがわかった。朝起きたときに1日の気分が決まるらしい。

時子さんは、時々俺にとても冷たい。怒られたら逆ギレするタイプの俺だけど、時子さんに怒られたらどうしていいかわからなくなる。時子さんにシカトされると、一日中へこむ。

今までなら考えられなかったことだ。
しかし現実なのだ。
俺は今日も、時子さんの好きなみつまめどらやきをもって、七瀬くんの家に行くのだ。

馬鹿らしい。




作品名:触れない壊したい 作家名:おねずみ