小瓶の妖精
ある日、何気なく散歩していると、綺麗な小瓶を見つけた。キャップも装飾性が高く、うすい紫が美しい。何気なく拾ってもちかえった。
今思えばそれが間違いだった。
一人暮らしの男の部屋に不釣り合いな、美しい小瓶。俺。そして…。
記憶は一時間ほど遡る。家に帰り、ふと思いだしポケットのなかにいれたままにしていた小瓶をとりだした。中には何も入っていないようだった。深く考えずキャップを引き抜く。
すると、目の前が霞むほどの煙があらわれた。なんかヤバいしななのか!?と思いあわててキャップをすると煙はとまった。
だが次の瞬間、自分の目を疑った。見知らぬ人間がめのまえにいた。
「いやーもうホンマ助かったわ。ありがとう。お前マジいいやっちゃな」
妖精(自称)はきつい関西弁でそういいながら俺の手を強く握った。
「…てかくさっ。あなた臭いよマジ冗談抜きで!ヤバい鼻がもげる今すぐシャワー浴びてきてください!」
きょとんとする妖精(自称)の背中を押して風呂場に押し込んだ。
「匂いとれるまででてこないで下さいね!」
扉ごしに呼び掛ける。
とりあえず、着替えを用意した。男ものの下着しかないけど、知らない。妖精(自称)が出てきたらすぐに洗濯機を回そうと決心しながら思った。