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もうきけない答えに問いを

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 ずっと、ずっと聞きたかった。いや、一度だけ聞いたことがある。
「何見てんの?」
「んー」
生返事をしたお前は頬杖をついたまま窓の外から視線を外すことは無かった。俺には何も見えなかった。ただの青空さえも。それでもお前はずっと外を見ていた。
「なあ、」
ちょっとせかすように、もう一度問う。お前はようやくこちらを向いて、
「なんにも」
云って笑ったんだ。
そう、笑いやがった。
「なあんにもないさ。ただ良い天気だ」
「教室、鍵かけるぞ」
「おお、もう出るよ」
空っぽの鞄を持って、のたのた歩き出したお前は青空を背景に。かなしいくらいさっぱりした青空を背景に。

教えてくれなかった。友達だと思っていた。けれど何を見ていたか俺は知らない。
なあ、お前は何を見ていたんだ。

窓のふちをなぞっても答えは聞こえない。
だってもうお前はいない。