PE-3town
ここを透明な街と旅人は呼んだ。マージョリーは頚をかしげた。
「お前、名前は?」
「マージョリー」
「それでマージか。てっきり俺は」
旅人がチェリー・ブロッサムの枝を手折った。それはマージョリーの学校の園芸部員が大切に育てているものだった。
「イマージナリィかと思った」
すこし厭味ったらしい表情をしたので、揶揄されていることは何となく理解できた。
「イマージナリィ、この都市に似合いの言葉だ」
「なぜ?」
「ここが幻想・空想、まあ、つまりまやかしの存在だからだよ」
「そんなことない。私はここに生きている」
「本当に?」
なぜそこを問うのだろう。マージョリーは不思議に思った。思考して、食して眠って呼吸をする私たちはしっかり生きているじゃないか。