少女機械人形コーパス 第一幕
木左木
「うわぁ〜、なんだか早く治っちゃいそうな気がしますね!」
巳上
「そう?」
木左木
「はいっ! この包帯の中には巳上主任の愛が詰まってますから! ラブパワーでヒーリング全開ですよ!」
左文字
「……落ち着け、俺。これはそういうアレじゃないんだ……ぶつぶつ」
巳上
「うふふ。憂ちゃんはいつも元気ね」
木左木
「はい! 有難うございます!」
左文字
「……で、どうだ? そのー……ああ!兵器開発の方は」
木左木
「はい、順調にきてますよ。
ただ、デーケルターレで『楔の悪魔』を引き抜くことが第一なわけですから、実際には今開発しているような兵器は必要ないのかもしれません」
左文字
「『楔の悪魔』……ね」
巳上
「引き抜いた際、毒液の注入以外の活動を停止している『楔の悪魔』が再び動き出すかもしれない、と上層部では考えているのかもしれないわ」
木左木
「やっぱりそうですかー。
どうも何かを撃退するような開発依頼が多いので、戦闘の可能性があるんだろうな、とは思っていたんですけど」
左文字
「全くだ。俺達には所詮、池峰総司令の考えている事の3分の1も理解出来ていないだろうよ」
巳上
「ジョエルは分かっているのかしらね……」
木左木
「ジョエル……パイロットですね?」
巳上
「そう。そして総司令のご子息」
左文字
「まぁ、父親だからな。俺達よりかは理解してるだろうさ」
<回想・セピア>
ジョエル
「守りたいもの……」
巳上
「何も無いならデーケルターレなんて乗らないほうがいい。きっと……辛いだけだもの」
左文字
「………」
ジョエル
「……ボクは……」
巳上
「……」
ジョエル
「ボクは父さんのプライドを守りたい」
<回想終>
作品名:少女機械人形コーパス 第一幕 作家名:有馬音文