くれなずむ (一回目:スメルハザード)
「・・・・なるほど、この妙な異臭はこれが原因ですか」
しかし、なんという臭さだろうか。
メガネのフレームがひしゃげてしまいそうだ。
『臭いだけで、物理的に物を壊せるのではないか?』
そう例えてもいいくらいの強烈な臭さだった。
これほどの異臭である、家の外にも漏れ出しているはず。
近所の方々に、あとで謝って回らなければなるまい。
まったく、旦那が原因で起こったことを、なんで私が後始末を
しなければならないのだろうか。
朝から、いらないトラブルの原因をつくってくれた夫に対して、
プレアネッサは本人に早速、抗議の電話を入れた。
本人にいきさつを問いただし、今起こっていることと、
これから起こることに対して、さんざん文句を浴びせ倒した。
にも関わらず、諸悪の根源は懲りた様子もなく、悪びれもせずこう
言ってのけたのだった。
『だって、ほら。ネタになるだろ?』
「・・・そんなネタいらんわーーーっ!!」
普段温厚な彼女も、これには流石に声を大にしてぶちキレたのであった。
作品名:くれなずむ (一回目:スメルハザード) 作家名:ミムロ コトナリ