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あるべき高校生の、人生哲学。

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結局のところ、生きていることと死んでいることにたいした差などないのだと彼は言った。生き続けることは同時に死に続けること、それはもうごく自然の流れで、私達は現在進行形で、ゆるやかに死に続けているのだという。
理解できないふりをして首を傾げる。今、私は無難に笑えているだろうか。

彼は空だけを見ていて、煙草の灰が音もたてず崩れ落ちた。

「なんてな。ただの高校生がテツガクるには内容的にちっとばかし重いんじゃねぇの?」

彼は扉へ向かってすたすた歩き出す。
煙草は足下へ棄てて、靴底でぐりぐりと踏み消した。あまり行儀の良いことじゃない。私は少しだけ眉を潜めた。

振り向いて、


「かえりましょーよ?いるべき世界に。」


彼は手をさしのべる。逆光と髪の毛に遮られて、私から表情は見えないけれど、きっと、笑っているのだろうと思った。酷く苦しそうな、泣きそうな顔で笑っているのだろう。

私は彼の手をとらずに立ち上がってスカートの埃を払い、


一言だけ、
「空が遠いなあ。」

風が出てきた。彼は予想通り泣きそうに笑っていた。




くぐもったチャイムがつかの間の小さな世界を壊す合図を告げる。
風が少しだけ強くなって、屋上はそれでも蒸し暑かった。