エアコン
鉄の扉
小さい窓
コンクリートに囲まれた一室
部屋の中央にパイプいすが一つと青い男が一人
後はジュースのボトルの入っているコンビニ袋
それだけだった
夏場なのに換気が殆どできないために部屋は蒸し焼き状態だ
エアコン…欲しいな…
青い男は思った
しかし、この部屋は彼の物ではないのでエアコンの取り付けなんてできるわけがなかった
「お、早いな」
鉄の扉が開いて赤い男が入ってきた
「お前も集合時間よりはぇじゃん」
「これでも寝坊したんだけどな…。しっかし、熱いな…」
「エアコン欲しいな…」
しかし、この部屋は赤い男の物でもない
赤い男は持ってきた折り畳み式の机を広げる
少しの間二人で喋ってると今度は黄色い男が息を切らしながらやってきた
「間に合ったか!?」
「ギリギリセーフ!!」
「ナイス滑り込み!!」
「… ていうか熱いな。エアコン欲しくない?」
しかしこの部屋にエアコンなんかあるわけがない
そして、この部屋は黄色い男の物でもない
黄色い男は持ってきた折り畳み式の椅子を三脚用意した
男達は待った
かなり待った
集合時間を大分過ぎてから最後に白い男がやってきた
「わるい、遅くなった」
「おせぇよ」
「待ちくたびれた」
「今日お前がビリだったらジュース全部お前のおごりな」
「お前ひでぇな…てか暑くね?」
しかし、この部屋は白い男の物でもないからエアコンなんてつけられない
白い男は鞄からケースを取り出して中に入っていた大量の小さい直方体を机にぶちまけた
男達は待っていましたと言わんばかりにそれらをかき混ぜ、適当に4つの山にした
直方体をかき混ぜる時、部屋にはジャラジャラとどこか惹かれるような音が響いていた
そして男達は汗だくになりながらその遊びに没頭していく
エアコンのない部屋で…