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囚人(骸×ツナ)

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ある時代 ある場所 一人の囚人が柵越しに恋をする

彼の名前は六道骸。

自由を奪われ、迫害を受ける。

毎日繰り返される、地獄のような実験の日々。

決して、この収容されている施設から出ることはできない。

施設は高い柵で囲まれ、塀のようになっている。

そこから見えるのは、決して行くことのできない外の世界。

・・・そして、骸が恋した一人の少年。

薄茶色の髪の毛に大きな瞳。少年だが、とても可愛らしい顔立ちをしている。

「ずっと、君は、この施設に居るの?」

それが、骸が少年と初めて交わした紙飛行機での会話。

柵を越えていけるように、紙飛行機を折って。

二人の壁越えていけるように飛んでけ。

_____________こっちに来て、僕と話そう。

決してこの思いは伝わらない。

いつか、ここから出られたら、彼に・・・

なんて、そんなこと、叶わないと・・・知ってるんだ。

それでも、毎日、柵越しに、君を見ていることが僕のささやかな幸せ。




あれから、幾日、幾月。

君の紙飛行機が僕の喜び。

毎日繰り返される地獄のような実験も、きみがいれば、

どんな運命も笑顔に変えられる気がした。


だけど、君は・・・

「遠くに行くんだ。だからバイバイ。」

ある日突然、僕に告げた。


今まで、苦しみながら生きてきて、これほど泣いた日は無い。

手紙を抱きしめたまま、眠った。

だけど・・・「オイ、コレは何だ。」

「や、やめろ!!」 骸の監視役はビリビリと手紙を破き始めた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

破かれた紙飛行機を握り締めて、泣き叫んだ。

監視役は笑いながら、何人かで手紙を破いたり、僕を押さえつけたりしている。





それから、何日か後。僕が実験の被験者になる番がきた。

今まで、何人もの仲間が実験で死んできてる。

ついに、僕にその順番が回ってきたのだ。

___________キミの居なくなった今、この世に未練は無いけれど、

なぜたかココロが叫んでる。もう少しだけ生きたい。

今は難しい気持ちじゃなくてただ、キミに・・・



キミが居ればどんな嘘だって、笑顔に変えられる気がした。

名前も知らない君と出合って、未来が輝いた気がしたんだ。

僕にとってキミは、闇が渦巻いてる雑草の傍に咲く綺麗な一輪花。

生きていく世界が違った。だけど・・・必死に手を伸ばしていた。




口から血があふれる。

のどが熱くて、焼けるように痛い。

視界がかすむ。

________ただ、キミに会いたい。


のどを押さえながら必死で壁をたたく。

お願い。もしこれが最後なら、僕をあの子と話をさせて・・・

暗く閉じたその部屋に切なく、ただその声は響く。

_______君に、

涙があふれてくる。

目が熱い。

のどが焼ける。

口から血があふれてくる。

_______会いたい。

だんだん痛みが増す。

のどを自らの手で掻く。

_______アイタイ。

のどを押さえ込んだまま、床に倒れる。

意識が・・・




___________アイタイ。アイタイアイタイ。







せめて君の名前だけでも知りたかった・・・。
作品名:囚人(骸×ツナ) 作家名:華鈴