アリス
私は読んでいた本から顔をあげた
5月の風は心地よく私の頬を撫でる・・・
「アリス」
さっきの声とは違って、今度の声の主はみえていた
後ろを振り返ると、私の家庭教師が立っていた・・・
少しつり上がった目に、とてもよく似合った眼鏡・・・
少し長い髪は、いつだってきっちりまとめている・・・
「アリス、お茶にしましょう。お茶が終わったら午後の、お勉強をして夜には貴女のお父様と、お母様が貴女のお誕生日を祝ってくれます。もう、13歳におなりになったのだから、色々作法など身につけて頂かないと・・・。さあ、行きましょう。」
この人は、毎日何が楽しくて生きているんだろう・・・
毎日毎日、何も変わらず私に勉強を教えて、決まった時間に帰っていき、また決まった時間に、お屋敷に来て勉強勉強・・・
こんな、計算された毎日・・・
もう、イヤなの・・・