小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

大きなシオン  ~ こども時代~

INDEX|3ページ/3ページ|

前のページ
 

相手は5人。ボコボコにされ、もう死ぬかもしれないと思った。
俺は大声で泣き叫びながらむかっていった!いろんな事叫びながら這いつくばった!
「こいつ、やっべえんじゃねえ?!」「儀式は終わりにしてやるよ!」そんな声がした。
どんだけ時間がたったかわからない。俺は携帯で父を呼んだ。

次の日、歪んで膨れ上がった顔の俺は病院に連れて行かれた。
「頭は大丈夫みたいだな。鼻の骨は折れてるな。無茶したのかな?」
やさしい医者だった。

俺は自分の部屋から出なくなった。学校なんて知らない。

「なんでそんな古い歌を知っているの?」
トイレの前ですれ違った母親が言った。
「別に。」
ドアの鍵かけて、PCから流れる曲に合わせてまた歌った!
「盗んだバイクで走りだす~!・・・十五の夜~!!」尾崎豊。もう死んだらしい。
大声で歌いながら、拳を握り、部屋の壁を思いっきり叩いた。
あっけないほど簡単に穴があいた。ぽっかり空いた穴。
「俺みてぇ~・・。」なんか凄く笑える。
壁にいくつも穴を開けた。

 「竜は直感AB型だから、シオンと違う高校行って色々な勉強しな。成績とかじゃなくて、竜は頭いいんだから。シオンはバカな男は嫌いだよ。」
俺、シオンの言ったとおりにしたかった。
普通に中学行って、高校行って、好きな事見つけて。シオンみたいな大学生になりたかった。
でも、大学出て先生になった人って先生になる資格あったのかな?
政治家って偉いのかな?
教授のいう事って正しいのかな?
わからない・・・。
 
わかるのは、俺は「普通の中学生」にはなれなかったって事だけ。
いつもつ疲れていて、何もしたくないだけ。

弱虫で、根性のない情けない俺。
シオンに助けてくれと言えない頑固な俺。

 
 ☆ ☆ ☆ <シオンのこと> ☆ ☆ ☆
シオンは、俺と6歳違う。
1歳の時、大学病院で大きな手術した。
長い入院で、周りに「生きては帰って来ないいんじゃないか。」と噂されていたそうだ。手術は成功したけれど、食道が細くて、普通のご飯は食べれるようになるかわからない。
大きくはなれないかもって言われた時、「生きてくれているだけでいい!」
それだけで宝物だと思っていたと親は言った。写真もすごくいっぱいある。
全てがシオン中心の家族だったって。
何回も入院して3歳頃からご飯も普通に食べられるようになって。
おしゃべりでおりこうで、可愛い女の子。
でも、家の外ではおとなしくて静か。みんなが走り回っていても、一人で本を読んでいる事が多かったそうだ。
シオンが元気になって、妹か弟がいなとかわいそうだね~って話していたら、俺が生まれたんだって。
だから、シオンは家の中心。女王様。
ピアノ習っていて、発表会にはドレス作ってもらっていた。

小学校に入っても時々入院していたシオン。
スキーや水泳は、親がついている時にちょっとしかさせてもらえなかった。
だから運動会のかけっこはいつもビリ。
おもちゃや人形なんて、なんでも買ってもらって一杯持っていたから、友達は家に来ていたけど、人形がなくなったり、いじめられたりもしたってシオンが言っていた。
猫のいる家に行くとヒューヒューして、息が出来なくなるから、猫のいない家にしか行けなかった。
でもね、5年生頃から、入院しなくてもよくなって。
「詩央は勉強ができる。」って同級生がわかるようになって。身長も164cmもあったから誰にもいじめなくなったって。先生に怒られた事なんかない。
家庭訪問の時、いつも先生に褒められるって母は自慢していたよ。
「大学病院のベットで絵本のラーメン舐めていた子がこんなに大きくなるなんて。」って。夢みたいだねって。
小さいと時から何回も入院しているうちに、
シオンは、病院で白い服着て働く人になるって決めていたんだって。
でも、本当は歴史の勉強もしたかったみたい。
「幕末」「明治維新」とか語るシオンは誰も止められない。
自分が今生きている事が奇跡なんだって。
(大学病院の病室で一緒に写っていた男の子二人はもういないんだって。)
白虎隊を知ってから、毎年2~3回は電車に乗って飯盛山の墓参りに付き合わされた。
墓参りはシオンが大学生になるまで続いたよ。

おしゃれなんかまったく興味なし。そんな事に時間使うのは無駄なんだって。
勉強は頑張っただけ結果が出るから好き。
小さい頃から入院ばかりして、お金かかったから、お金いっぱい貰える仕事について親孝行するって言っていた。その為に大学に入る。
「大学に入ったら少しは遊ぶかもしれないけどね。」
黒い長い髪。少し白っぽい顔色。のっぽのシオン。
「竜~!一人暮らしはなんかいやだなぁ~。遊びに来てね!」
そう言ってステーキの町に行ってしまった。


 ☆ ☆ ☆ <こころ> ☆ ☆ ☆
怒り・悲しみ・不安・欲求不満・劣等感・孤独・恐怖・絶望感・・・。
心の中はイロイロなものがいっぱい入って、ぐるぐる掻き混ぜられたから、どれがどんな感情なんだかわからない。
歪んだ思考は膨れ上がり。
「全か無か」「~なんだから、こうだろう!」「~なんだから、すべきだろう!」
人にレッテル貼って、決め付けて。心を読みすぎて感情的に決めつけて。
心のフイルターは詰まりっぱなし。
先生、友達、世の中。そして親。
みんな自分に刃を向けているような気がしていた。
自分は何もしていない。
自分は陥れられた。

要因→原因→問題×こころ=身体・精神ボロボロ?

問題>問題児?

問題ってなんだろう?
・・・広辞苑・・・
「問 題」~問いかけて答をさせる題。解答を要する問。研究・論議して解決すべき
      事柄。争論の材料となる事件。面倒な事件。
「問題児」~知能・性格・行動などが通常の児童と著しく異なっているために、特別な
      取り扱いを必要とする児童。異常児・欠陥児・不適応児。
問題<問題児?!
特別な取り扱いを必要とする?異常・欠陥・不適応?
「特別な取り扱いを必要とする児童・生徒の対応マニュアル」とかがあって、それがすごく研究・評価されていて、先生がみんな周知していたら凄いよね!「わが校の対応はマニュアル化されており、全職員がマニュアルに沿って行動し、すばらしい効果を上げております。」なんて教育委員会で自慢している校長がいたりしてね。
MyPCは、取り扱い説明書なんて読まなくても、毎日触っているとどんどん自由に動いてくれるようになる。異常・欠陥なんて今のところ出ないよ。MyPCが最初から異常・欠陥・不適応だったら、取り扱い説明書なんて読まないよ。すぐ交換するね。
交換できない異常・欠陥・不適応な物に、毎日特別な取り扱いしている先生は大変だね。
自分は修理に出されて放置されたのかな?
物はかわいそうだよね。修理屋さんから自分で逃げだせないもの。

「雪だるまはね、小さい雪の塊をコロコロ転がして大きくなるんだよ。どんなに大きくしても、硬く叩いて頑丈に作っても、冷たい雪の降る所にいても、暖かくなれば溶けて消えちゃうんだよ。」
冬休みに家に帰って来たシオンが言った。