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大きなシオン  ~ こども時代~

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初めてシオンと逢ったのは、初雪が降った次の日。
「ママ~お猿さんみたいだねえ~。タツノスケ~私がおねえちゃんですよ~!」
え!姉ちゃんなの?
でも~何で~俺そんな名前なの?なんかかっこ悪いよ~。
「いいの。詩央が決めたんだから。辰年だから女なら辰子、男なら辰之助なの!」
6歳の姉ちゃんが考える名前か?って言うか、真剣に考えてないだろう姉ちゃん!
 でも、俺はその場の空気で悟った。この家のボスは姉ちゃんだと。
女王様に仕える身として生まれたのだと。
さすがに「辰」かわいそうだと「竜之助」。
俺、姉ちゃんのおもちゃになった。
 
姉ちゃんは、竜が一番かわいいと言ってくれる。
抱いてくれるし、ミルクもくれるし、頭もなでてくれる。優しい姉ちゃんだ。
今日も「竜~ねんねでしゅか~。お姉ちゃんがいい子いい子してあげるよ。」そう言いながら俺の布団に入ってきた。
でもでも、信じられないことに、
「可愛いねえ」と言いながら、布団の下で姉ちゃんは俺の足をつねった。
「ギャア~!」俺は大声で訴えた!泣くしか方法はない。
「ママ~、竜が泣いているよ~。お腹すいたのかなあ~?かわいそうだねえ~。」
姉ちゃんは台所に走って行った。
 
二年後、外で遊んでいたら大きな猫が遠くに見えた。「シオン~!猫いるよ~。猫恐いよう~!」走って姉ちゃんに助けを求めた!
(「詩央」「お姉ちゃん」が上手く言えなくて、姉ちゃんを「シオン」と呼んでいた。)
「シオンじゃないでしょ!お姉ちゃんって呼びな!」
そう言いながらも、枝を拾って野良猫を追っ払ってくれた。
シオンは凄く強いんだ!
 
「ママ~私やっぱり女の子の方が良かったな。妹が欲しいよう~。」
テレビを観ていたいたシオンが、台所に走りながら言った。
5分後、頭に赤いリボン、ピンクのワンピース着せられた俺に化粧してシオンは大喜び!   俺・・・そんなに嫌じゃなかった。
「なんか俺ってすごく可愛い?」くるっと回って鏡に聞いたよ。

「竜!言う事聞かないと殴るよ!」
160cmになったシオンが拳を振り上げる!マジ恐い!殴られる!頭に手を当てた。
だって、ケーキもハンバーグも一緒に作るのは楽しいけど、お正月の前に「なんとか卵」作るって、たくさんのゆで卵裏ごしするのつまんないし、疲れるから時々休むんだよ~。
今日は大掃除もさせられたし。疲れたよ~。
でもシオンには逆らえない。ゲーム途中で休んで、また茹で卵の殻剥きした。
シオンは絶対何でも最後までするんだ。卵が黄色と白い粉みたいになって綺麗だったよ。

6歳になったら、「貯金通帳」作ってもらった。「お金は大切にしなさい。」って。
お年玉の二万五千円預けた。大金だ。
 春、「竜、お母さんお年玉少し借りたね。後で返すから。」え~!!
「なんで!竜のお金だよね!なんで勝手に使うの!」「竜の貯金通帳なのになんでお金下ろしたの?」「竜が使うお金だよ!今すぐ返して!」「ねえ返してよ~」俺は泣きながら訴えた。大切にしなさいって言ったくせに。
シオンが大人の事情があるから貸してあげなって言ったけど、俺は許せなかった。
親子だってお金は他人だよ!「通帳は竜が持ってる。もう信用しない!預けない!」
 次の次の日、二万五千円入った通帳を貰った。
「大切に持ってなさい!」って言われた。自分の部屋に隠した。誰にも触らせないと思った。銀行どこにあるのかなんて知らない。大切に持っていたよ。
でも、どこに隠したか忘れてしまった・・・。
シオンは一杯貯金して将来使うんだって。母が困った時貸してあげるんだって。

シオンは中学生になった。
俺は小学一年生。
家族で写真館にも行ったよ。
シオンの真似して「こどもチャレンジ」一生懸命勉強してたから楽勝だよ。
 でも~学校って長い時間椅子に座っていなくちゃいけないんだ。
先生が教えてくれる事はレベル低すぎ。最初はつまんないと工作バサミで爪きったりして我慢してたよ。でも我慢できなくなって時々一人で外に出るんだ!
グランド走って、草の中にいる虫捕まえて。気持ちが良くなったら教室に戻るんだ。
先生に怒られる。
休み時間はみんなと遊べるから大好きだけど。
なんか学校ってつまんないなぁ。

小学校から帰ったら、自転車に乗って中学校に行った。
校門の前でシオンを待っていた。
中学校は大きい。制服着た人も大きい。なんかワクワクして探検にでかけた。
 「お前、どこのガキ?ちっちぇ~!遊んでやろうか?中に入ってもいいよ。」
お兄ちゃんだ!
覗いていた窓から入り、ボール遊びやゲームの話した。

「姉ちゃんが帰る時間かな?行きな。また遊んでやるよ。」
ありがとうお兄ちゃん。また来るね!
これからシオン迎えに行ってくるね。
あ~ いっぱい人が出てきた。シオンを探してキョロキョロ。「あれ小学生じゃない?」「やだ~何?知ってんの?」「どこの子~?」「あの子詩央の弟じゃない?」
「え~!そうなの~!可愛いじゃ~ん。」シオンと違うトーンの声がした。

 ・・・今日の夕飯は大好きなハンバーグ!でも変な顔して食べている・・・。
「母~!もう信じらんない!竜が今日中学校に来たんだよ!恥ずかしい、嫌な奴にイロイロ言われるし。もう~絶対来るな!」俺は黙ってハンバーグ食べていた。「竜!もう来ませんは!ごめんなさいは!言わないと殴るよ!」
 母が言った。「まぁまぁ~。竜~お母さんも仕事だし寂しかったんだよねぇ。こんな小さな竜が一人で校門の前に。ずーっと待っていたなんて・・・。」
なんか~勝手にドラマみたいな事言って~。親、泣いてるよ??

「竜さぁ~昨日は相崎先輩に遊んでもらったんだって~!三年生にかっこいい人、いっぱいいるけど、相崎先輩は一番人気あるんだよ!私の弟だと言ったんだって!竜!でかした!って感じだね!」上機嫌のシオン。良い事したな俺。
俺はきれいな女の人大好き!シオンもハイドとか、かっこいい男の人好きなんだ!
(でもさ~、シオンこの前「身長ついに70になってしまったぁ・・。」って言ってたよね。ハイドさんてテレビでみると背が低いよ?細くてちっちゃい人好きなの?)

シオンはあんまり遊んでくれなくなった。
でも、寂しくないよ!結構忙しいんだ!それに好きな女の子もいるし。
 チョロQ・ハイパーヨーヨー・遊戯王カード・ファイナルファンタジー。スキー・ミニスキー。ルアーフイシング・バス釣り・海釣り。シオンに教えてもらっているピアノ。
柔道・空手・体操教室・・・。勉強はしなけど、理科なら80点取れるよ。やりたい事はいっぱいあって、楽しい事はず~っと続くと思ってるよ。
 我慢?
した事あるよ。多分・・・。
家はお金ないんだって!
お金持ちってどんな人?夕飯ナイフとフオークで食べている人?
My飛行場持っている人?

シオンは頭いいんだって。だからいい大学行くんだって。
塾に行くか、ずっと自分の部屋で勉強している。
部活は帰宅部なんだって。

 「竜、ちょっとシオンの部屋来な。」夜、時々部屋に入れてくれる。
ゲームの話・勉強や学校、家の話・あとイロイロ。かっこいい男になってねとか・・・。
「 はい!お・わ・り・!あっちに行って!勉強の邪魔だから!」で追い出される。