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オチない来神SSSS!!

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6。来神組―β



 「俺は手紙がすき」

 登校途中、ひょこりと現れ何の脈略もなく語り始めた臨也を無視して静雄はそのまま歩き続けた。

 「だってさ、字は人を表すというけれど手紙っていったらその集約じゃない。まずハガキか封筒か、無地か色つきかデザインものか、色つきだったらその色、デザインものだったらそのデザイン、ペンの色や種類その使い分けに手紙の宛先、住所の書き方、縦書きか横書きか、それに内容でしょ、あと字の美醜、書きだし、書き終わり、一人称二人称三人称、
 ・・・・やだなぁ、その変態を見る目やめてくれる?つまり俺が言いたいのは手料理と同じぐらい手紙には個性が表れるってこと。しかも格式ばったものじゃない限り料理と違ってレシピという名のマニュアルはないからね。そういうわけで何度でも言うけれど俺は手紙が好き。愛してる。もちろん俺が今やってることにはメールを使った方が早いし手軽だし好きな時に見れるし手元に残せるし簡単に消せるし効率的なんだけれど、もし手紙とメールどちらか選べって言ったら俺は手紙を選ぶよ。当たり前じゃない。メールなんて内容以外大体画一されてるからね。最近はデコメとかあるみたいだからまだマシかもだけどさぁ、それもメーカーが市場の需要を探って作ったものであってその中から送信者が選択する自由があるだけで送信者自身がつくるものじゃないし。俺の求めてる六十何億の人間それぞれの個性とは程遠いんだよね。わかる?でも人間以外の存在も手紙、いやメールすらも使ってるだろうけどねもしこの世界にいるとしたら。
 けれどさぁ、とっても残念なことに俺には特に手紙を書く用事なんてないんだよね。別に手紙書く友達がいないとかいってるんじゃないから、ココ重要。
 まぁ要するに、」

 ガッ

 突然顔面につきだされた拳を軽くバックステップで軽く避けて、臨也は笑っていった。 

 「何かさぁ、不意に郵便局経由の手紙を懸賞以外で出したくなったんだよね」
 「それでこれか、不幸の手紙か、俺はあと22人に同じモノ書かなきゃ不幸になるのか、殺すぞ糞が」
 「やっぱり臨也だったかー!どうせ浪費されるのは君の労力やら金やらついでにそんなのに付き合わされた可哀想な郵便局員さんの時間だから送るのは勝手だけれども先に電話なりメールなりしてくれるかい?僕の未来のお嫁さんが怖がっちゃってさぁ!まぁ久しぶりに怖がる彼女も見れたし、プラスマイナスゼロていうか、うん、むしろグッジョブ!!」
 「お前はそれでいいのか」

 届いた手紙を拳で握りしめて突き出した形のままぷるぷる震える静雄の肩をそっと掴みつつ、門田が親指を立てる新羅に静かに突っ込む。
 そんな三人の様子を後ろ向きに歩きながら眺め、臨也は楽しげに笑った。

 「っていうかシズちゃんわざわざソレ学校まで持ってきたわけ?あっはっは、オツカレサマー」
 「臨也手前ぇええ!!」
 「あー。シズちゃん、ポイ捨てかっこわるい。実によくない」

 急に真面目な顔で指をさされ、虚をつかれた顔で静雄が手紙を振り投げようとしていた腕をぴたりと止める。
 そしてそのままゆっくり息をしつつ腕を下ろし、どす黒いオーラを漂わせながら静雄は唸るようにいった。

 「・・・鳩の糞にあたって爆死してくれ」
 「それをいうなら憤死じゃない?」
 「うまい臨也!静雄座布団一枚持ってきて!」

 危機感もなくけらけらと笑う新羅の声を合図にバキリと四人には聞き慣れた音が鳴る。
 
 「・・・・・・本鈴までに戻ってこいよ」

 門田の呼びかけにこたえるように、緊張感のない二人の悲鳴と標識による破壊音、そして予鈴が遠くで響いた。 

作品名:オチない来神SSSS!! 作家名:草葉恭狸