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オチない来神SSSS!!

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5。来神組―s&β



 青い空、白い雲、殺風景な学校のグラウンド。
 世界は実に美しい。もちろん俺が愛しているのは人間だけれどそれは特にこの世界を愛でない理由にはならない。例え今俺がすっている空気が実は排気ガスで汚れていようが数えようがないぐらいの目に見えないウィルスがうようよしていようがそれが目に見えないだけでこんなに世界は美しい。実はグラウンドの向こうの高層ビルであんまり青い空も白い雲も見えないとしても世界が美しいことには変わりはない例え俺にそれが見えていようと見えていまいと俺が感じる心一つで世界はこんなに色を変えるのだ。世界美しい。ラブ。

 「・・・なんだあれ」
 「臨也だね」
 「ノミ蟲だな」

 無感情のドタチンの声に新羅とシズちゃんの声が続いた。反応なんてしない、と俺は固く決意をしてじっとそのままの体勢を保つ。

 「いや、それはわかってるんだが、なんであいつは自分の席で体育座りしてしんだ目でグラウンド見てんだ」
 「えーそうだね、何か声をかけてほしいのに自分のプライドが邪魔してできないから僕たちの前から姿も消せずとりあえず隅っこでいじけてみたみの虫の図っ」

 背後を確認せずに投げたナイフは人間離れしたシズちゃんに見事に回収されたようだ、うわぁすごいなぁサーカスに売り払われろ。

 「・・・で、なんでアイツはあんなに荒んでんだ?」
 「それがね、今日午前中身体測定があったじゃない」
 「・・・・・・・・・・・・・ああ」
 「ちょっとドタチンそれだけで把握するのやめてくれないその憐憫の視線やめてくれない」
 「なんで後ろ向いてんのにわかんだよ、テメェだって人間離れしてんじゃねぇか」
 「気配だよけ・は・い。それぐらいなら普通に人間でもわかるんだよシズちゃんと一緒にしないでくれる?」

 思わず振り返ったら案外近距離にシズちゃんがいて思わず竦む。ずずっとフルーツ・オレをすするシズちゃんの後ろで未だに新羅がぺらぺらと余計なことを喋っていた。

 「中学校であったときは私の方が小さくて稀にからかわれていたりしたんだけど高校に入って背が並ぶようになってね、それで君たちとは違う人かもしれないけど今日俺と臨也の身長をはかった人がその、何?計測結果を口に出していう人だったんだよね。それでさ、臨也も去年よりのびてふふんと思ってるところで僕の身長が「新羅今度は真面目に狙うよ」「ごめんなさい」

 軽口程度に謝る奴を睨んで、そして目の前で思いっきり見降ろすように立つ男を、それこそ視線で射殺すほどに睨む。
 シズちゃんはまだ無言で、ただフルーツオレをすすっていた。


 「・・・何だよ」


 ずずっ


 「あのね、いつも俺に近寄るなって言ってるのは君だろ?ほら戻りなよ、ごーしずおごー、ハウス」


 ずずびっ


 「・・・・・・君はそんなんだからわかんないかもしれないけどね、そりゃあ君も俺も世間一般よりは背は高いよ文句なしに。有難うそんな風に俺を生んでくれた父さん母さん、ラブ。そして人ラブ。けど友達のほとんどいない君にはわからないだろうけどさぁ、やっぱり、・・・・・」


 ずずずっずずずずっ


 「・・・・・・なんかいえよばか」


 ずずずずずっぴっ


 「・・・・・心の中じゃ馬鹿にしてるくせに」
 「『心の中じゃ馬鹿にしてるくせに』?」


 フルーツオレを飲み終わったシズちゃんが綺麗にそれをゴミ箱へ放り投げる。見事に入ったみたいだが後ろでドタチンが物を放るなと叱っていた。ざまあみやがれ。
 体育座りの俺を、奴はハッと笑って、いった。



 「阿呆め、俺は全身全霊でお前を見下してるっての」



 ・・・・・・・・。


 凍りつく二人を放って、黙ってぱちりとさっきまで新羅に投げようと思っていたナイフを開く。ゆるり、ゆぅらりと立ち上がり、それを静かに目の前の奴に向けた。

 「戦争、しようか。シズちゃん」
 「望むところだ、の・み・む・し・くん?」

 ぶちり

 にやりと笑う奴の真意に気付いて俺の高い高い沸点が弾け飛んだ。







 「ねぇ門田君」
 「なんだ」
 「あれ、静雄も何かあった?」
 「・・・・・・去年より縮んだんだとよ、3cm」
 「・・・あー・・・・・・」
 「本当に縮んだのか、それとも去年がデカすぎたのかはしらないが」
 「まぁ、3cmは大きいよねぇ」
 「3cmはデカいな」





 「さっさとノミらしく俺に踏み潰されろやノミ蟲いぃいぃいぃ!!!」

 「ドアの上とかに頭ぶつけて昏倒してそのまましんでくれないかなこのデカブツ!!!」









                                       [ 教室は只今を持ちまして戦場となります ]

作品名:オチない来神SSSS!! 作家名:草葉恭狸