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『アフターケア』episode 01

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「はい、これから自首しようと思います」
 昌子は覚悟を決めた様子で、すっくと立ち上がり、誰ともなく頭を下げる。
「そうですか解りました。僕も、ご一緒しましょう。翔ちゃん、それ受け取っておこうか」
 政やんがそれと言ったのは、トメさんの日記とかのことだろう。しかし、ヤバいのもあるのだが、それを渡していいのか翔ちゃん。
「あっ、これか。解った。ええっと、通帳に日記、それとアルバム。これで全部だ」
 やはり、あれはまずいよね。
「なんだよ、そっちにまだ写真残っているだろ。そのATMの写真もよこせよ」
 政やんは真顔で突っ込んできた。気づいていたか、どうする。
「こ、これはダメだ」
 翔ちゃん、それじゃあ言い訳にもなっていないと私は思うのだけど・・・
「何だぁそりゃあ。ダメだってどう言うことだよ。いいからよこせよ」
 何か、取っ組み合いになりそうだな。
「こら、俺にそんな口きいていいのか?ダメなものはダメ。それに今回はお前にも責任はある。従って、全面的に俺に従え。ついでにこれやるから」
 すでに翔ちゃんジャイアニズムになっているし、それに、何か渡した?
「どういう言い訳してんだよ。それに何なんだこれ、請求書じゃないか」
 ああ、あれか。翔ちゃんナイス。かな?

「だから、それは婆さんの大事な形見の短刀、
骨董屋にあるから、まあ、警察に一応押収されるだろうけど、戻ったらそっちで買い戻して婆さんの墓に手向けてくれ。絶対」
「チッ、何でそんな事だけ俺に押し付けんだよ。自分で買い取ればいいだろ」
政やん、それは無理だから。
「はははっ、そんなの出来ればとっくにやってる。出来ないからお前に頼んでんだろ」
 そうでしょうとも、さすがに我が便利屋にそんな財力はありません。
 この様子を、見ていた昌子は涙を流し必ず私自身でお金をお返ししますからと告げた。
 それを聞いた政やんは、「たくっ、解ったよ。貸し一つな」そう言うと二人連れだって、元ゴミ屋敷を後にした。
 結局、ATMの写真は忘れたのか、気を利かせてくれたのか政やんは何も言わなかった。
 ・・・・・
 そろそろ、黄昏が迫っていた。
 私達は、あのノウゼンカズラに目を向けた。
トメさんが笑っているような気がした。

「そろそろ帰るか千里」
「そうだね」
 ・・・・・
ガサッ
「ん?なんだろう。今音しなかった?」
「ああ、そうみたいだな」
 ・・・・・
「ああ、前原ぁ。隠し撮りしていたなぁ。どっからだ吐け、何時から隠し撮りしていたぁ」
 ・・・・・
「占い館からだとぉ~カメラよこせぇ、ぶち壊してやる。よこせぇ~」
 この後、私と助監督の前原との死闘が続く。



 『アフターケア』episode01

ゴミ屋敷の事情 おしまい。
作品名:『アフターケア』episode 01 作家名:槐妖