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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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第三部 Tomorrow Dream




風が強く、夜でもそうとわかるほどに曇っていた。
昼間は太陽が照りつけるほどに暑かったというのに日が暮れてからは一雨来るかというほどの天気。

父親からのどうしてもという命令で行きたくもない会食に付き合わされて、うんざりとしていた時分。
携帯電話が鳴った。

名前を見ると仲原俊弥の文字。
なにかいつもと違う予感に胸騒ぎともとれるような感覚。
会食の相手へ中座することをわびてから部屋を出た。

「俊弥?どうした?」
挨拶もなしに聞くと向こうは落ち着いた様子でとんでもないことを言った。
『空琉くんから今うちに電話があった』
衝撃のあまり声もでなかった。
そして無事でいてくれたことへの安堵。
『空琉くんのところに向かってるんだけど誠司は今何してるの?』
それに短く答えると、終ったら連絡をくれ、と返事。
そんなもの、納得できるわけがない。
「10分以内に切り上げてみせる。そしたらまたかけ直す」
こんな会食くらい、どうにでもなる。
普段なら絶対にできるようなことではないけれど父に嘘を言って抜け出す算段を整えた。
会食相手の長々とした引留めの社交辞令を焦れながら受けて、部屋を出た。

再び俊弥へと電話をかける。相手はすぐに電話に応じた。
『誠司か?一ノ宮邸へ向かってる。何分で着く?』
一ノ宮邸ならばここからはそんなに遠くない。
「車とばして15分」
『わかった。向こうで合流しよう』
短く言葉を受けて電話を切った。
自分の車を出して一ノ宮邸の方角へと進める。

またあの家に空流がいるなんて・・・・。
酷い目にあってないといい。

信号を待つことにもイライラして、できる限りのスピードで一ノ宮邸へ急いだ。

着いたのは予言どおり15分ジャスト。

敦也は少し前からついていたのかこっちへ近づいてくる姿が見える。
自分も車を降りた。

目の前には一ノ宮邸の高い門。
「今、何時だ?」
「午後10時すぎだな」
人の家を訪ねるのには非常識な時間。
それでも、仕方がない。
呼び鈴を鳴らした。
なかなか応じないのに焦れて何度も呼び鈴を鳴らす。
「おい、誠司、あのカメラ」
俊弥が指差すのは門の上にひっそりとついている防犯カメラ。
緑色のランプが稼働中であることをしっかりと示している。
つまり誠司の姿がしっかり見えているのだから応じるわけがない、ということ。
「どうする」
「どうするもなにも行くしかないだろ」
まず門をこじ開けようとしてみるがそれは無理。
それならば塀を登ってやる、そう思い立って役に立ちそうなものを探すために周りを見渡していると、誰かの声がした気がした。
「今、なんか声したか?」
俊弥が問うて耳を澄ますと確かに門の向こうから声がした。
「鷹島さん、裏門にまわってください」
そして門の向こうの人物が歩きさる気配。
「誠司、どうする?」
「行くしかないだろう」
それしか手立てがないのならばそうするしかない。
ぐるりと家を囲んでいる塀の周りを走って裏へと回った。