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森の王子様

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これは、ある一国のお姫様の物語。
お姫様は物語が大好きで、いつも本ばかり読んでいました。
わたしもいつかこんな恋をして、素敵な人と結婚したいな
と、物語に夢を馳せていました。


けれどもあるひ、お姫様にお見合いの話がきました。
隣の国の、王子様との結婚をもちかけられたのです。
でもお姫様は、物語のような恋に憧れていたので
「勝手なことしないで!あたしの結婚する人はあたし自身でみつけるのよ!」
とわがままを言って聞きませんでした。
「おまえももういい年だろう、それにお前はこの国の未来を背負っておるのだ
子供みたいなわがままを言うんじゃない。」
王様がそう言うとお姫様は
「お父様のわからずや!大嫌い!」
と泣き叫び、部屋に閉じこもってしまいました。
そしてその日の晩お城の人達の目を盗んでお城を抜け出してしまいました。

お城の外に出たことがなかったお姫様はあてもなく歩き
気がつけば森の中を彷徨っていました。
暗くて、寒くて、怖くて
こんなことになるんなら飛び出してなんかくるんじゃなかった、そう思ったときでした

目の前に甲羅の光る亀が一匹いることに気付き
そしてどうやらその亀が「ついてきて」と道を案内しようとしていることに気付きました。

甲羅の光る亀についていくと、やがて明るいお花畑にでました。
夜だったはずなのに・・・とお姫様は不思議におもいましたが
もうここがどこだかわからないのでとりあえず亀を見失わないようについていきました。

やがて村のような場所にたどり着き、ある小さな家の前にたどりつきました。
亀がその中に入るので、お姫様も一緒に入ってみると
そこにはまるでどこかの王子様のような美しい、お姫様より少し大きい男の子がいました。

「おやおや、これは可愛らしいお嬢さんだ、まるでお姫様みたいだね。」
と男の子は挨拶する。
「あの、あたし○○王国の姫の××と申します、森の中で道に迷って、この亀さんについていったらここにたどりつきました」
お姫様がそういうと
「大丈夫、わかってるよ」
「ここは迷い人のたどり着くところ、ゆっくりしていくといい」
と男の子は微笑みながら答えました。
お姫様はしばらく、男の子のところにいさせてもらうことにしました。
お城には帰りたくなかったのです。
男の子はとても優しかったので、お姫様は次第に男の子のことが好きになってきました。

それからいくつかの時間が過ぎ、元の世界が懐かしく思い始めた頃
お姫様の前に大きな扉が一つ、現れました。
それは、元の世界に戻る扉でした。

でもお姫様は男の子に
「あたしはもう元の世界には戻らないわ、一緒にずっと暮らしましょう」
と言いました

けれども男の子は首を振り
「キミはもともとこの世界の人間じゃない、もう少ししたら体が消えてしまうだろう」
「その前に元の世界に帰るんだ」
と悲しげに答えました。

お姫様は仕方がなく、帰ることを決意し
いつか、いつかまたあなたに会いに行くわ-------。
と言い残し元の世界に返っていきました。


気がつくとお姫様は自分の部屋にいて、時計を見るとまだ抜け出す前の時間でした。
「夢だったのかしら?」
気になりましたがとても疲れていたのでお姫様は眠ってしまいました。
隣の国の王子様には明日直接断ろう、と心に決めていました。

次の日の朝です
隣国の王子様がお見えになったということで
お姫様もお見合いが開かれる部屋へ案内されました
部屋に入ると、なんとそこにはあのカメに案内された村に住んでいた男の子そっくりの王子様がすわっていました。

お姫様はひどく混乱しましたが
王子様が「おかえり」と声をかけてあげると
あれがただの夢ではなかったということがわかりました。
お姫様は「ただいま」と答えると王子様のところへ走ってゆきました。


終わり。
作品名:森の王子様 作家名:夢野都築