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ぼく 2

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ぼくは人質らしい

街でぼくの顔の張り紙を見つけた

この顔を見たら通報してくださいと書いてある

通報するのはいいけど、どこに通報するのかを書いてないところがなんとも言えない気がする。

その紙をじっと見ていたら、「誘拐犯」が来ていたらしい

その雰囲気からして絶対にやにやしている

だらしない顔してるとモテないと言ったら殴られた

この間の通りすがりの主婦の受け売りは不評だったようだ。

「誘拐犯」とぼくはいつも一緒にいる

ぼくは「誘拐犯」の顔を知らない

実は性別も知らない

声も男だか女だかわからない

わからないのはぼくの経験不足かもしれないが、とにかくわからない

じつのところ、ぼくには「誘拐犯」の顔も性別もどうでもいいのだった

ということを「誘拐犯」に言ったら、わざわざ指さされて変人と言われた

誘拐犯と変人か。

その組み合わせもなかなか面白い気がする。

ぼくと「誘拐犯」は色んな家に住んだり、宿に泊まったり、旅をしたり、暮らし方には枚挙に暇がない

ぼくは「誘拐犯」がまともに働いているところをあまり見たことがないけど、あの仮面をしたまま働けるところがあんまりないかららしい

外せばいいのに、と言ったら、誘拐犯としての常識がなんとかかんとか続きそうだったのでセクハラをして黙らせた

宿の女将さんが話してた方法だけど、きっかり5秒停止してから鶏が締め上げられるような悲痛な声を上げて部屋から飛び出していったから、効果は絶大らしい

仮面越しに口付けただけなのに。
作品名:ぼく 2 作家名:ハーレイ