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遊戯園

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-雨音-
噎ぶ程の雨の香り
君の眸だけそこに在って

沈んでいく文字を
黙って眺めてた
手を差し出すこともせず
それがどんなに罪だとしても
受け入れる覚悟はなかった

何時になれば 僕は僕を許してあげられるの
小さな頃読んだ本の一節ぐるぐる回って
今でも僕の脳の根本

「だから人間が許されることはないのです」

目が覚めたときの
薬の香りと管の気持ち悪さ
また雨の日に戻っていく

-くち-
「ダウト!」
と言ってくれるひとが欲しいのです
だってまだまだ先は長いでしょう
(嘘を絶え間なく繰り出すこの喉を締め付けてやってほしいのです)

無垢な瞳だけが僕を撃ち抜いた。

(散った桜さえ君には美しいの?)



-産声を上げて君を責め立てた-
病的な午後
晴れきった空が歌う

「ねぇ君、僕の背中が見えるかい?」

(いいえ、いいえ私だけの貴方、貴方の背中は私には遠すぎて。)

藤の下では月が見えぬと兎が泣いて

かんかん照りのソラがカラカラ音を立てながら回っている

(先生、先生
 そんな薬ではこの病気はよくならないのです
 誰かに僕を認めてもらいたいだけなんです
 先生が言ったとおり
 人間が好きすぎて
 人間に期待しすぎて
 ひとりが寂しい僕です)

「溢れ出しそうな感情と感傷を」
「見ても」
「君は僕を好きでいてくれる?」

綺麗なものなど嫌いだと耳を塞いだ朝

「ごめんね、」



-相似-
お母さんが好きなものを好きになろう
と決めたのはずっと前のことで
それはとても無知な行いだった。

お母さんは私が好きだと言ったものをみて
きたないわね、
と言い、
とても真っ暗な眸で私をみた。

(そんなに僕を責めないで
 あなたの声は意味のない記号なのに
 僕はとても苦しいんだ)


作品名:遊戯園 作家名:杉野羽