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ラビットパニック!

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近頃、街でウサギが増殖してる。多分あたしのウサギの落書きのせい。

この間。近所に越してきた美人のおにいさん(最初おねえさんだとばかり思っていた)に、魔法のノートを貰った。その時おにいさんはスポーツマンふうのかっこいいおにいさんと一緒で、ふたりは魔女の夫婦らしい。
流石にあたしは半信半疑で(この期に及んで半信なのは、美人なほうのおにいさんが余りにも浮世離れした雰囲気を醸しているから)、ノートを貰ってしばらく経ったある日、それも寝る前に、新しく買ったペンを使いたくなって魔法のノートの隅に落書きをした。
それはかわいくもなんともない、テキトーでいい加減なやつ。ちょっとした試し書きで書いたウサギ。
次の日起きたらパジャマのポッケにウサギがいた。
進入禁止の標識。双子のスミスのトレーナー。デイリーニュースの表紙。
あらゆるところにウサギ。
ごくふつーで平凡なあたしの人生を変えるチャンスだった。別に今の自分に不満なんかないけど、与えられたものは上手く使うタイプなのよ、あたし。
なのに、こんなウサギでおしまい。魔法の効果はもう二度と使えない。それならそうと、はじめに教えてよ!
もっとかわいく書けば良かった。ごわごわでやせた変なやつ。
ウサギが街中で増殖してから、魔女の夫婦は見なくなってしまった。けれども、きっと笑ってるに違いない。まさかこんなことになるなんて、思わなかっただろうし。

(そもそも男同士で、夫婦で、魔女って、どういうことなの!)


          ∩ ∩   
ラビットパニック(´・×・`)!
Serani Poji


作品名:ラビットパニック! 作家名:塩出 快