2/2!!!~ニブンノニ~
―なんだ?
男は考える。
―どうしてこうなった?
目の前には、血まみれになっている仲間が数人と茶色がかった黒髪をしており、その身を制服につつんでいる学生らしき少女が一人立っているだけだ。
いや、こんな時間帯に制服を着た学生など居ないだろう。警察に見つかれば必ず補導されてしまう。
それでは、この少女はコスプレ喫茶の店員か?だとしても、こんな薄暗い人が通りそうもない路地まで客引きには来ないだろう。
それはそうとかなりの美少女だ。
茶色がかった黒髪は、ツヤがかってとてもキレイに輝いている。
暗くて良くは見えないが、年は14歳~17歳といったぐらいか?
男は呑気にそんなことを考えていた。 . . . . . . . .
いや、考えざるを得なかったのだ。
男の本能が、殺される恐怖から妙な冷静さを生み出してしまっていたからだ。
―ん?
男は考える。
―オレはどうして今こんな所にいる?こんな人っ子一人来ないような路地に何でいる?
―いや、待て待て待て!
そもそもどうして血まみれになった仲間達がそこに倒れている
男は思い出していく...―。
あまりの驚愕的な出来事だった為に男の本能が無意識に拒否していたことを、
次々と...次々と...―。
―意味が分からない。
男が混乱しきっている最中、
突然、少女の髪の毛がふわりとなびいた。
すると、ごおっと音をたて突風が少女を包みこむように吹き荒れた。
男は思わず目を瞑った。
しばらくして突風が止み、男は恐る恐る目を開いた。
すると、
先程となんら変わりはない、血まみれになって倒れている仲間と片手に日本刀を持ち髪が銀色に輝いてとても美しい少女が立っている光景が広がっていた。
―・・・?
何か...おかしくないか?
先程と光景は変わってない...か?
目の前には、血まみれになって倒れている仲間と髪が銀色に輝いて―・・・。
髪が...銀...色?
―いや、違う...
違う!?違う!!
この少女の髪の色は茶色がかった黒髪じゃなかったか
じゃあ、何故今は銀色になっている?!
少女は男を見つめたまま動かない。
男は完全に冷静さを失っていた。
―何なんだ?!
何がどうなっている!?
なんで仲間たちが倒れているんだ?俺たちはここら辺では少し名のついた名のついた奴らの集まりだぞ?!
それが何で、全員倒れているんだ!何なんだ!もう意味が分からない!!それにこの少女の髪の色が銀色になってしかも刀まで持っでブっ?!!
いきなり胸の辺りに鈍痛がはしる。混乱し過ぎて気づかなかったが少女が男のすぐ目の前にまて来て男の胸の辺りを足で踏みつけている。
・・・場の空気が張り詰める。
瞬間、男の頭に走馬灯が駆ける。
―嗚呼、これは小6のときに大好きだった優里ちゃんに告白したら信じられないくらいボロ糞にフラれたときのことか。ショック過ぎてしばらく飯が食えなかったんだっけ...
・・・銀色髪の少女がニタリと笑う。
―嗚呼、これは高校の修学旅行のときか。良太の裸踊りは面白かったな。あいつ本気で警察に補導されんだもんな。
・・・銀色髪の少女が刀を振り上げる。
―嗚呼、おふくろには随分と迷惑かけたな。何にもしてやれてないな。親孝行のひとつでもしてやるんだったなあ。家に帰って肩でも揉んでや・・・ー。
・・・男の意識はそこで途切れた。
作品名:2/2!!!~ニブンノニ~ 作家名:折原 朧