FLASH
そこには、今より少し若い鷹緒と一緒に、見知らぬ女性と小さな女の子が写っていた。
「え、なに? これ……」
沙織は驚きと同時に、何も考えられなくなっていた。写真を手に取ってみるものの、信じ難いことが浮かぶだけだ。まるで若い家族のような写真である。
その時、部屋の電話が鳴り響いた。沙織が慌ててまごまごしていると、鷹緒が目を覚ました。
「ん……」
目を擦りながらの鷹緒と、沙織の目が合う。
「うわ、沙織! なんでおまえがここに……」
起きたての鷹緒は、沙織を見て驚いている。沙織も突然のことに目を泳がせながらも、口を開く。
「よ、様子を見にだよ……俊二さんも一緒に」
「はー、脅かすなよ……」
「それより、電話出たら?」
「んー……」
嫌そうに、鷹緒が電話の受話器を取る。
「はい。ああ、どうも……」
鷹緒が電話の相手と会話を始める。沙織は写真を持って見つめたまま、しばらくその場に立っていた。
すると、電話を終えた鷹緒が、沙織の持つ写真を奪うように取り、棚に戻して歩き出した。
「ねえ、この写真の子……」
部屋を出て行こうとする鷹緒に、沙織がやっとそう口にする。
「……俺の子供だけど?」